2015 No.16

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ニッポンみやげニッポンみやげ

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ほのかな香りを装う
匂い袋

写真●栗林成城 協力●香老舗 松栄堂(匂い袋)、保赤軒(扇子)

色糸で織った絹織物の小袋に、丁子や白檀などの香料をつめた「匂い袋」は、懐に忍ばせて、衣装簞笥や靴箱に入れて移り香を楽しむ和風サシェ。観光地のみやげ屋やお香の店で買える。

日本人は、一定の作法のもとに香木をたいて、その香りの違いによって和歌などの世界観を味わおうとする「香道」をはじめ独特の香り文化を持つが、匂い袋も香りを個性として楽しむ伝統の名残だろう。匂い袋の原型としては8世紀頃に「裛衣香」という衣類や書物の防虫を目的としたお香があり、江戸時代(1603~1867)には着物の袖をかたどった匂い袋が女性の身だしなみとして流行したとも伝えられる。

贈る人の印象に合わせて選ぶ楽しみもあり、香りを「聞く」(問いかける)として香りを介したコミュニケーションを大切にしてきた日本人の美意識が感じられる品だ。