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書道って何?

筆と墨で文字を書く

現在の日本では、文書や手紙を書く日常的な筆記用具として、ボールペン、えんぴつ、マーカーペンなどが使用されていますが、書道は古来の筆記用具である筆と墨を用いて漢字やかな文字を芸術的に表現する日本の伝統文化の1つです。書道はリトグラフ(水と油の反発を利用した版画の一種)のように文字の整い具合のほか、筆の運び方、墨の濃淡(のうたん=濃(こ)さや薄(うす)さ)、全体の配置の美しさといった観点から鑑(かん)賞するものです。

書き初めのようす

子どものころから書道を学ぶ

日本の小学校・中学校には書道の初歩を勉強する「書写」という国語科の授業があります。また高等学校では芸術科の授業で「書道」を学びます。年の初めには子どもたちが集まって、その年の願いをこめて文字を書く「書き初め」という行事もあります。すぐれた書を書くためには「手習い」と言って、歴史上の有名な書家の文字を筆写(書き写すこと)する学習法もあります。また子どもたちに書道を教える塾(じゅく)も全国各地にあり、放課後や週末には小学生や中学生が、上手できれいな文字を書くため熱心に学んでいます。

体の中心に紙を置き、紙全体がよく見えるように座ります(光村図書)

中国から伝わり広まる

書道はもともと中国で発達したものです。日本では飛鳥時代(6世紀ごろ〜710年)のころに筆、墨、紙の作り方などと共に中国より伝えられてから本格的に始まりました。当時、日本の指導者だった貴族や武士には不可欠な教養とされましたが、時代と共に日本人全体に広まっていきました。現在では芸術作品として鑑賞されるだけでなく、年賀状と呼ばれ新年を祝う挨拶(あいさつ)状の葉書を筆と墨で書くなど、日本人の生活の一部となっています。

書体と用紙

書道には漢字やかなの一点一画を正確に書き、正しい形にまとめる書体の「楷書(かいしょ)」、楷書の点・画をくずした「行書(ぎょうしょ)」、曲線を多く使い決まった形にとらわれない最も自由な書体の「草書(そうしょ)」といった、さまざまな書き方(書体)があり、使用する用紙にも、さまざまな種類があります。

楷書

楷書

行書

行書

草書

草書

光村図書

学校の授業でも使われ最もなじみ深いのが「半紙(24.3×33.3センチメートル(約9.6インチ×13インチ))」です。画仙(せん)紙という墨の発色やにじみ、かすれなどの表現が美しく出せる書道作品のために作られた用紙には、96センチメートル(約38インチ)×180センチメートル (約71インチ)という特大サイズもあります。そのほか短歌(5・7・5・7・7の字数で表現される日本古来の詩の1つ)や俳句(季語(季節を表す言葉)および5・7・5(17字)で表現する詩)を書く短冊(6センチメートル(約2.4インチ)×36.3センチメートル(約14インチ))、正方形に近い色紙(24.2センチメートル(約9,5インチ)×27.3センチメートル(約11インチ))など、種類もサイズも豊富です。

書き方の特ちょう

また、用紙や作品により書き方にも特ちょうがあります。例えば真四角な色紙に日本の伝統的な詩の表現である和歌を書くスタイルは「散らし書き」と呼ばれ、各行の書き出しの高さに変化をつけてリズム感を出したり、あるいは墨に濃淡をつけて遠近感を出したりして、風景画のように仕上げます。短冊に短歌を書くときは全体を三等分して、最初の折り目までの部分に歌の題名を書き、残りの下の部分に上の句と下の句を2行に分けて書きます。1行目は最初の折り目に書き出しの文字がかかるようにして、2行目は1行目より書き出しを下げます。これを「三つ折り半字がかり」と呼びます。