日本の伝統音楽
三味線と尺八
日本には、古くから様々な音楽が存在していました。その多くは1,000年以上も前に中国大陸から伝わってきたものですが、長い年月を経て日本独特の音楽へと発展しました。それに合わせて、楽器も日本独特のものが使われ始め、中でも代表的な楽器と言えば、三味線・尺八・琴などが挙げられます。
三味線は、ギターに似た楽器です。胴(どう)は革張りで小さく、柄(え)が長いのが特ちょうです。弦は3本あり、ギターやバイオリンのように音の高さを上部の糸巻きで調節します。直接指で弾(ひ)かず、逆三角形の形をしたばちで弦を打つように弾きます。多くの場合、三味線はさまざまな歌の伴奏(ばんそう)に使われています。
尺八は、竹でできたたて笛です。穴は前に4つ、後ろに1つの合計5つあいていることから海外ではfive-holed bamboo flute とも呼ばれています。この5つの穴を指で調節しながら音を表現しますが、この音色は、非常に印象的で独特な深みがあります。
中国から伝わった琴
琴は、横長で丸みのある厚い木の板に13本の弦を平行に張った弦楽器です。琴の大きさはふつう、長さ約160センチメートル(約63インチ)から200センチメートル(約79インチ)、幅約30センチメートル(約12インチ)です。それぞれの弦の中ほどには柱(「じ」と読みます)が立ててあり、その柱の位置を動かすことによって音階を決めます。右手の指にはギターで使うピックに似た爪(つめ)をつけ、弦をはじいて音を出します。左手は弦を押(お)して音の高さを変えたり、余韻(よいん)に変化をつけたりします。
琴は、そもそも中国の戦国時代(紀元前5世紀~紀元前3世紀)に生まれたと言われています。最初は5つの弦でしたが、後に12弦、13弦となり、この13弦の琴が奈良時代(710年〜794年)に日本に伝わりました。
当初は管弦楽(かんげんがく)の楽器の1つとして使われていましたが、後に単独で演奏されるようになりました。また、三味線や尺八と共に演奏されたり、歌をともなったりするものもあります。
現代の日本人の日常生活において、このような伝統的な音楽や楽器に直接ふれる機会は以前に比べて少なくなりましたが、各小中学校では音楽の時間に、この伝統芸術について学び、学校によっては伝統芸能鑑賞(かんしょう)教室を設けて、劇場(げきじょう)などに鑑賞に行くところもあります。
琴の曲には、特に日本人になじみ深い習慣や季節と密着したものが多く、特にお正月の定番曲「春の海」、春の桜の季節によく耳にする曲「さくらさくら」は有名です。このように、伝統的な音楽は今でも日本人の身近にあるのです。
写真:梨子田まゆみ /写真提供:石榑雅代