「フィールドアスレチック」という遊びを知っていますか? 英語の「field(野外)」と「athletics(運動・体育)」を組み合わせた造語で、自然の中で障害物があるさまざまなアトラクションをクリアし、冒険的な遊びを楽しむ施設のことです。英語の名前のようですが、実は発明されたのは日本。今回はそんな「フィールドアスレチック」をご紹介します。
フィールドアスレチックとは?
フィールドアスレチックの歴史は意外と古く、1970年に日本で作られました。その後、73年に商標登録、74年には静岡県に第1号のコースがオープンしています。そこから全国へ広がり、現在では日本国内に1000以上の施設があります。
フィールドアスレチックの始まりは、子どもたちが自然の中で思いっきり体を動かす場を作ることでした。遊びながら、自分がどれくらいの運動ができるかを知ったり、木の温もりを感じたりして、健康的な心と体になってほしいという思いがありました。ただ遊ぶだけでなく、自分がどこまで走れるか、跳べるか、冒険を続けられるかという、自分の力や成長を学ぶことができるのです。
自然の中で思いっきり体を動かすことで、冒険心が養われます。(写真提供:大田区広報課)
代表的なフィールドアスレチックは、「アスレサーキット」です。もっともよく見かけるフィールドアスレチックで、木と木を飛び回ったり、ロープを渡ったり、水の上を木の筏で渡ったりするなど、20以上の種目があるコースをぐるぐると回ります。順番に回るのがルールですが、難しいときは休憩したり順番を変えても大丈夫です。
たくさんの障害物や遊具を乗り越える「アスレサーキット」。フィールドアスレチックの中でも一番有名な種類です。
(写真提供:大田区広報課)
そのほかにも、森や林の中にゴールをひとつ決め、障害物を乗り越えながらゴールを目指す「アスレウォーズ」、タワー型のアスレチックの頂上を目指す「アスレタワー」、自転車で障害物を乗り越える「アスレバイク」があります。
フィールドアスレチックの魅力
フィールドアスレチックの最大の魅力は、木に触れることです。日本フィールドアスレチック協会は全国各地のフィールドアスレチックのコースを監修しており、協会公認のコースでは、遊具は皮むきの自然木でできています。地形をなるべく自然な形のまま活かし少しの整備だけでコースを作り、金属もできるだけ使わず、自然そのままの遊具を楽しむことができます。木の素材でできた家にいるとなんとなく気分が落ち着くのと同じで、自然の木をたくさん使った遊具は、安心感を持って遊ぶことができます。
各コースは木のぬくもりを感じられるように作られています。
そうした自然の中で思いっきり体を動かすことは、とても気持ちのよい体験です。普段、山の中で走り回ったり、川や湖で泳いだりすることが少ない人にとっては、自然に触れる爽快感を味わうことができるでしょう。木の遊具だけでなく、森の中で聞こえる風の音や、小鳥のさえずりなど、都会では味わうことができない雰囲気があります。
自然の中に作られた遊具で思いっきり遊べば、非日常が味わえます。
フィールドアスレチックには、インストラクターや指導員がいません。そのコースを見て、自分の体の調子や運動能力でどれくらい走ることができるのか、挑戦する遊具を自分で決めるのも、フィールドアスレチックの特徴のひとつです。
水の上に浮かんだ木の板を渡るなど、フィールドアスレチックの楽しみ方は公園によってさまざまです。(写真提供:大田区広報課)
日本で作られ、実は長い間楽しまれているフィールドアスレチック。自然に触れ、自然の中で体を動かす体験は、大人も子どもも貴重な時間になるでしょう。日本を訪れた際にはフィールドアスレチックを体験してみてはいかがですか?