鏡開き
新年は餅がなければまったく違うものになるでしょう。餅は、粘りのある種類の米(餅米)を蒸して、つぶしたものです。
昔は、餅は家庭で作られていましたが、現在では多くの家庭ができあがった餅を店で購入しています。お正月休みの間、鏡餅と呼ばれる平皿ぐらいの大きさの二つの丸い餅を、少し大きい方を下にして重ね、新年に訪れる神様へのお供え物として神棚や床の間に置きます。この鏡餅は1月11日に片付けられ、細かく砕いて食べます。
この頃には通常、鏡餅は非常に硬くなっていて、表面にはひびが入っています。餅は包丁では切りません。「切る」という言葉が、「縁を切る」など好ましくない意味を持っているからです。鏡餅は手や金づちで割るため、昔からこれを鏡開きと呼びます。
小さく砕いた餅は火で焼いて、汁粉(ゆでた豆で作った甘いスープ)または雑煮(野菜と肉が入ったスープ)の中に入れます。昔の人は神様へのお供え物をいただくことで、神様から守られると信じていました。
鏡開きは家庭だけで行われることではありません。東京にある有名な柔道の学校、講堂館では、毎年けいこ後に大規模な鏡開きを行います。この伝統は1884年から始められました。餅は汁粉の中に入れられ、およそ650人の参加者に配られます。