笑い講
外部の人からはおかしく見えるかもしれませんが、山口県防府市の住民にとって、笑い講は大切な行事です。12月の最初の日曜日に、地元の神社の住職が21名の氏子を引き連れてこの古い儀式に参加し、神様に心からの笑いを捧げます。
笑い講は、本州の西の端に位置する防府地域でおよそ800年前から行われている「笑いの儀式」です。これは、鎌倉時代(1185年から1333年)に初めて行われました。歴史学者は、この儀式は地域の農民がわずかな間でも苦難を忘れるために始められたと考えています。笑いを神様に捧げるという名誉は今も引き継がれていて、幸運な21軒の家庭によって大切に守られています。
午前11時ごろ、参加者は儀式のリーダーの家に集まります。リーダーとしての役割は、1年ごとにそれらの家庭の間で順番に回ってきます。次に、神棚のある畳敷きの部屋に円を作って座ります。神棚の前には、米、野菜、魚、およびその他のお供え物が供えられています。座る順番は決められています。食事と飲み物が配られ、参加者は食事を楽しみ、自分たちだけではなく、おそらく信仰している神様ともお話をします。
午後1時ごろ、宴が最高潮に達した頃、神官は会の開始を宣言し、非常に独特な儀式の開始を知らせます。
お互いに向き合って座っている参加者のペアが同時に3回大きく笑います。最初の笑いはその年の収穫への感謝の気持ちを表し、2番目の笑いは次の年の豊作を祈るためのもので、3番目の笑いはあらゆる困難を笑い飛ばすためのものです。
笑いが小さすぎたり、不真面目であったりした場合、あるいは「一緒に笑う」ペアの笑いが揃っていない場合、審判が金属製のたらいを1回たたきます。心の底から笑い、完璧に揃って笑えるようになるまで、笑い続けます。審判が納得すると、たらいを繰り返し叩き、そのペアが成功したことを示します。同じたらいが50年近く使用されているため、たらいは傷だらけで、所々に穴も空いています。
心理学者は、笑いによって暗い気持ちを消せる場合があると言います。最初はむりやり笑っていても、笑い続けていると、抑圧された感情を解き放せる場合があり、やがて腹の底から笑えるようになります。笑い講のほかにも、笑いが主な役割を果たすお祭りは多数あります。これらの伝統的な儀式は、大昔の人が笑いの癒し効果を活用しようとしたものなのかもしれません。