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お茶の正月、炉開きの様子。
キッズ・ウェブ・ジャパンでは、2002年11月22日に、武者小路千家東京稽古場で開かれた11月から4月に使われる炉を使って新茶を味わう「炉開き」(口切りの茶事ともいう。)の席を取材しました。開かれたばかりの炉には炭がくべられ、パチパチといい音をたてて冬の季節の到来を感じさせます。茶席では祝いの意味をこめて餅(日本では正月や節句などのめでたい席で餅を食べる習慣がある)のぜんざいが出され、それから濃茶が振る舞われました。
炉に組まれた炭。
新茶をふるまいます。
「この年の新茶を初めて飲む『口切り』は、お茶の正月とも言われます。原点を見つめるという意味で、一番スタンダードな道具を用意しました」と言う宗屋さん。この日、使われた釜は400年前、利休が持っていたものと言われています。また濃茶を入れた黒楽(くろらく)茶碗は17世紀前半に作られたもので、黒楽茶碗は茶道のために作られた代表的な作品と言われています。
着飾った女性が稽古場に集まります。
新年を祝う床の間。
一年の始めに開かれる茶会を「初釜」(行事へリンク)と呼びます。2003年1月18日、東京稽古場には朝から美しく幕が張られ、新年らしい風情が漂っています。着物姿の女性や多くの招待客が続々と訪れ、稽古場は賑やかな雰囲気に包まれます。この日は1席30数名ずつ、全部で6席の茶会が行われるので200名前後の客にお茶を振る舞うことになります。
午前11時半頃、最初の茶席が始まりました。稽古場2階にある大広間には紅白の椿と「綰柳」(わんりゅう)(結んだ柳。行く年と来る年を結んで繋ぐという意味がある)が飾られています。この日のために用意された道具の説明をしながら、家元14代目不徹斎宗守さんが濃茶を練ります。(濃茶は、沢山のお茶に少量のお湯でお茶を練るようにして入れるので、「点てる」というよりも「練る」という表現が使われます。)
初釜の風景。
濃茶席に並行して、別室では宗屋さんも薄茶を点て、大勢の訪問客をもてなします。「新年に飾る花や掛け軸は毎年同じものを使う場合もあります。常に変わらぬ道具を見ていただくことで、正月を実感してもらうという意味があります」と宗屋さんは言います。
千宗屋さん(左)と千宗守さん親子。
薄茶席では宗屋さんが活躍。