Web Japan > Kids Web Japan > 日本語 > 子どもクラブ > 茶道 > 茶道の楽しみ、もてなし、一期一会
茶室。中に入ると心も落ち着きます。(©武者小路千家)
茶道を良く知らない人にとって、茶道とは単に一定の作法でお茶を点てそれを一定の作法で飲むもの、と考えがちです。しかし実際は、生きていく目的や考え方、宗教、茶道具や茶室に置く美術品など、幅広い知識や感性が必要とされるとても奥深い総合芸術です。
茶道は禅と深い関わりがあります。禅宗は仏教の一派で、「今をどう生きるか」という教えのようなもので、茶道には禅の精神が随所に生きています。むしろ禅の考え方が茶道の根本にあると言ってもいいでしょう。人は茶室の静かな空間で茶を点てることに集中することで心が落ち着き、自分自身を見直すことができます。
また、茶会では、用意されたすべてのものに意味があり、お茶を点てるための道具から、床の間にかける掛け物、茶室に飾る花など、すべてについて考えて客を迎えます。そのため、亭主は道具や美術品についての広い知識も必要ですし、美的感覚も研ぎ澄まされていなければいけません。そのため茶道は日本の生活文化全てを含んだ総合芸術と言われているのです。
茶道には「一期一会」という言葉があります。文字通りには、一生に一度の出会いを意味しますが、茶道では人との出会いを一生に一度のものと思い、相手に対し最善を尽くしながらお茶を点てることを意味します。茶道には決まった形の到達点はなく、その時ごとに関わる人間や物によってすべてが変わります。