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子どもクラブ

茶道


宗屋さんの子ども時代

千宗屋さん
子ども時代と茶道

 普通、お茶を学ぶ人は定期的にお稽古を繰り返して点前を身につけます。しかし宗屋さんは特別な稽古をつけられたことはほとんどなかったと言います。


 「子どもの頃は行事があれば父親についていって、ちょっと顔を出したり、皆さんのお稽古のあとで水屋の人が点ててくれたお茶を一服飲むことはありました。それもお菓子が目当てだったのかもしれませんね」


また家元の行事より学校を優先するというのが宗屋さんの両親の教育方針でした。


 「もともと茶道は大人の遊びの世界なので、僕が良識を持った普通の大人になってからお茶の世界に親しむことを両親が望んでいたんです。だから家で何か茶の行事があっても、親は僕に『学校へ行きなさい』と言うんです。むしろ僕の方が興味を持って茶席に出たがっていたなと思いますね」


 現在はお父さんとともに公の場に出ることが増え、家元後嗣としての意識が強くなってきたと宗屋さんは言います。


 「『茶の家に育つこと自体が稽古以上の稽古だ』と父は言うんです。また『機会は与えるから盗んで覚えろ』とも言われます。子どもの頃は気がつかなかったのですが、人に教わったことをやっているようでは、人様に教えることはできないという意味だと、今になって理解できるんです」


これからの茶道

千宗屋さん

 茶道という決まった型を踏まえることで、参加した人たちがお互いの気持ちを通じさせることができると宗屋さんは言います。


 「子どもが好きなお菓子を食べるためにお茶会を開いてもいいし、そこに何十歳も年上の人を招いても、同じ話題を共有できるんですね。子どもがお茶をやるようになって、家族の会話が増えたという話も聞きます。


 目の前で誰かが誰かのためにお茶を点てるという『点前』は実のあるもてなしですし、一種のボディランゲージだと思います。そして使う道具も世界中のいろいろな器を寸法と美しさで見極めて茶道具に「見立て」ることで幅広く楽しめます。年齢、性別、人種、そして言葉も越えることができると思うから、国際的な交流にも広がる可能性があると思います」