味の計測の難しさ

時間や長さ、重さには「ものさし」があるので、「あと5分でご飯」「3m飛べた」「空港へ運んだ荷物は10kg」など、他の人に正確に情報を伝えることができます。では、味はどうでしょうか。アイスクリームを食べて「甘い」と感じても、その感覚は人それぞれで異なり、正確に伝えることは難しいものです。しかし、日本の科学者はさまざまな計測器の開発で長年世界の先端を走ってきました。最近では、世界で初めて味を計測できる味覚センサーの開発に成功しました。客観的に味を測れるので、微妙(びみょう)な味を比べることもできます。
これまでも、味覚の計測にはさまざまな人が挑戦(ちょうせん)してきました。たとえばケーキの味を分析(ぶんせき)するために、ケーキに含(ふく)まれる成分をすべて特定し、それぞれの成分を科学的に分析することで味を特定しようと試みました。ところが、ケーキに含まれている成分はたくさんありすぎて、そのすべてを分析することはできません。また、物質と物質がくっつくことで相互作用(そうごさよう)が発生し、味に関する性質が変わってしまうこともあります。