ヤモリの足の謎(なぞ)を解け!
![ヤモリの足の先端(せんたん)拡大画像](images/003.jpg)
ヤモリの足の裏(右)とヤモリの足の先端(せんたん)拡大画像 (C)日東電工株式会社
「なぜヤモリはツルツルな壁や天井(てんじょう)を自由に歩けるのだろう?」。ヤモリの足の裏に注目した研究者は、最初、「足の指から粘着物質(ねんちゃくぶっしつ)が出ているのでは」とか、「タコのような吸盤(きゅうばん)がついているのでは」と思っていました。しかし、調べてみると、ヤモリの足の裏には何と100万本以上の細かい毛が生えていたのです。しかも、その先端はさらに細かく枝分かれしていて、毛の先端が壁のでこぼこに入りこむことができます。こうして強い吸引力が生まれていました。
![ペットボトルをぶら下げる実験](images/004.jpg)
ペットボトルをぶら下げる実験 (C)日東電工株式会社
そこで、毛の代わりにカーボンナノチューブ(炭素の原子からなる小さな筒(つつ)の形をした物質)を1cm2のフィルムに100億ほど貼ってみると、切手の4分の1ほどの大きさのシートで500gのペットボトルがぶら下げられました。ヤモリのような粘着テープを開発できたのです。
痛くない注射と蚊
「痛くない注射針があったら」。そんな願望をかなえてくれる生き物も身近にいました。蚊(か)です。蚊に刺(さ)されても痛くないのは針(“吻(ふん)”と呼ばれるもの)にギザギザがついていて、皮ふとの接触面(せっしょくめん)が少なく、摩擦(まさつ)が起きないからです。そこで開発されたのが、蚊の針の形を真似した採血用の針。刺した後、針は体内で溶(と)けます。これまでの痛い注射の代わりになってくれます。
![蚊の吻](images/005.jpg)
蚊の吻
厳しい自然で生き続ける生きものたちは、最適な環境(かんきょう)を手に入れようと進化してきました。自然が作り出した“天然技術”を採用した製品は、あらためて自然のすごさを感じさせてくれます。研究成果を活かした製品がたのしみです。
(2010年10月更新)