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ハイテクジャパン

生きものの生態をヒントにした
最新技術


パート3

ヤモリの足の謎(なぞ)を解け!

ヤモリの足の先端(せんたん)拡大画像

ヤモリの足の裏(右)とヤモリの足の先端(せんたん)拡大画像 (C)日東電工株式会社


 「なぜヤモリはツルツルな壁や天井(てんじょう)を自由に歩けるのだろう?」。ヤモリの足の裏に注目した研究者は、最初、「足の指から粘着物質(ねんちゃくぶっしつ)が出ているのでは」とか、「タコのような吸盤(きゅうばん)がついているのでは」と思っていました。しかし、調べてみると、ヤモリの足の裏には何と100万本以上の細かい毛が生えていたのです。しかも、その先端はさらに細かく枝分かれしていて、毛の先端が壁のでこぼこに入りこむことができます。こうして強い吸引力が生まれていました。


ペットボトルをぶら下げる実験

ペットボトルをぶら下げる実験 (C)日東電工株式会社

 そこで、毛の代わりにカーボンナノチューブ(炭素の原子からなる小さな筒(つつ)の形をした物質)を1cm2のフィルムに100億ほど貼ってみると、切手の4分の1ほどの大きさのシートで500gのペットボトルがぶら下げられました。ヤモリのような粘着テープを開発できたのです。


痛くない注射と蚊

 「痛くない注射針があったら」。そんな願望をかなえてくれる生き物も身近にいました。蚊(か)です。蚊に刺(さ)されても痛くないのは針(“吻(ふん)”と呼ばれるもの)にギザギザがついていて、皮ふとの接触面(せっしょくめん)が少なく、摩擦(まさつ)が起きないからです。そこで開発されたのが、蚊の針の形を真似した採血用の針。刺した後、針は体内で溶(と)けます。これまでの痛い注射の代わりになってくれます。


蚊の吻

蚊の吻

 厳しい自然で生き続ける生きものたちは、最適な環境(かんきょう)を手に入れようと進化してきました。自然が作り出した“天然技術”を採用した製品は、あらためて自然のすごさを感じさせてくれます。研究成果を活かした製品がたのしみです。


(2010年10月更新)