電子工作ワークショップの様子(「子供の科学」編集部提供)
日本の小学校には、7月下旬から8月下旬まで、夏の長期休暇があります。この間、問題集や絵日記など、さまざまな宿題が学校から出されます。その中に「自由研究」という、自分で自由にテーマを決めて、研究したレポートや工作した作品を提出する課題もあります。理科や科学、ものづくりに興味がある子どもたちの自由研究をサポートするために、電子工作や科学の実験に必要な道具がセットになったキットが売られたり、ワークショップが開かれたりしています。
楽しみながら学べるキット
アリの生態や巣の様子を観察できる「アリの巣」キットは、昔から人気があります。透明のケースと砂がセットになっていて、そこに自分で庭や公園で捕まえてきたアリを入れて飼育します。砂に色が付いているので、アリが巣を作っていく様子がよく分かります。
「アリさんまるごと観察セット」英語版とアリが巣を作る様子(アーテック提供)
「プラネタリウムクラフトキット」英語版と壁に投影した様子(アーテック提供)
星や宇宙に興味があるなら、プラネタリウムを製作するキットもあります。部品を組み合わせて作り上げたプラネタリウムで壁に投影すると、季節や時間ごとの星空の移り変わりを観察できます。
宝石のような泥だんごが作れるキットも人気です。泥を丸めて作った玉にきめ細かな砂を降りかけて固め、さらに磨いていくとキラキラと光ります。何日もかけて作り上げる泥だんごはとてもきれいです。
「どろだんごの王様」キット(学研提供)
土と砂に水を加えてこね、丸くし、土をつけては削り器で磨く作業を10回繰り返すと輝きを帯びる。土色のままでもいいし、付属のパウダーを使って青く着色することもできる。この時も塗っては磨く作業を繰り返す(学研提供)
電子工作のキットでは、5つのボタンで音階を作り、曲を奏でる電子楽器があります。キャラメルの箱の中に組み立てる小型の電子工作です。子ども向けの科学専門誌に詳しい作り方が載っているので、初めて挑戦する人でも分かりやすいと評判です。
小型の電子部品。キャラメル箱の中に様々な部品を組み立てると、丸いスピーカーから音が出るようになる(「子供の科学」編集部提供)
電子楽器の作り方を誌面で解説。部品セットも販売している(「子供の科学」編集部提供)
子ども向けの科学雑誌「子供の科学」の表紙(「子供の科学」編集部提供)
「自由研究」キットのシリーズ。電池を作ったり、紫外線を調べたりなど、テーマはさまざま。提出用にまとめ方の実例レポートも付いている(学研提供)
みんなでできる体験講座
より高度な工作に挑戦したい子や、直接説明を聞いて分からないところは質問をしながら制作したい子にお勧めなのが体験講座です。
日本では、夏休みを中心に大学の施設やショッピングモール、イベントスペースなどで理科や電子工作の講座が開かれています。これらは「夏休みの自由研究」として学校に提出する作品づくりの場にもなっています。分からないことは講師の先生が教えてくれるので、難しい工作にもチャレンジできます。
自動車ロボットを製作する「電子工作教室」 (村田製作所提供)
「子供の科学」で紹介した電子工作を作るワークショップ(「子供の科学」編集部提供)
自由研究は、興味を持てる分野を見つけるための第一歩です。何かひとつ、楽しいと思えることが見つかったら、それが将来へとつながっていくかもしれません。
東京理科大学広報課と学生実行委員会主催で、年2回「東京理科大学みらい研究室」を開催(東京理科大学みらい研究室提供)
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