
真剣な表情でロボットのプログラミングに取り組む小学生(「ロボスクエア」で)
日本は、世界でもトップクラスのロボット生産国です。特に自動車などの機械を組み立てる産業用ロボットの分野においては世界一の保有台数を誇り、また最大の輸出国でもあります。そんな日本には、子どもたちがロボットに触れ、最先端のロボット技術について学べる場所がいくつもあります。そこでは、ロボット開発に取り組む第一線の研究者たちが「ロボットを自分で作ることの驚きや感動を伝えたい」と、小学校低学年の子どもたち向けの教育プログラム作りにも取り組んでいます。各地のロボット工作教室では、子どもたちが初めて自分で作ったロボットを手に「将来は、ロボット開発者になりたい」と声を弾(はず)ませます。
世界大会ロボカップ発祥の地

6月にメキシコで開かれたロボカップ世界大会では、小型ヒューマノイドロボットのサッカー競技で、日本の千葉工業大学チームがベストヒューマノイド賞を獲得した
「ロボカップ」というロボットの競技大会を知っていますか? ロボットのワールドカップと言えばいいかもしれません。今年は6月にメキシコで16回目の世界大会が開かれました。大会は毎年開かれていて、今回は39の国と地域から381チームが参加し、日本の大学チームが小型ヒューマノイドロボットによるサッカー競技で、最も優秀な人間型ロボットに与えられる「ベストヒューマノイド賞」を獲得しました。これまでも、日本のチームは2002~08年の大会で、最も開発競争が激しいと言われるヒューマノイドロボットのサッカー競技で7回連続のベストヒューマノイド賞に輝くなど、大活躍しています。
世界大会への代表を決めるために各国で予選会が開かれるほどの大会ですが、開催のきっかけが日本人の提案だったことはあまり知られていないようです。
「2050年までに、人間のワールドカップサッカー優勝チームに勝てる自律移動(じりついどう)のヒューマノイドロボットのチームを作る」。1993年、日本の研究者たちがこんな大きな夢を掲げました。ワールドカップ優勝チームに勝つなんて本当に夢物語のようですが、日本の研究者たちはその夢を実現しようとロボカップを作り、97年に日本の名古屋市で第1回大会を開いたのです。
自律移動のヒューマノイドロボットは、リモコン操作なしで動く2足歩行タイプのことです。10年前は立つだけで精一杯でしたが、今では正確なシュートやパスもできるようになっています。人間のチームに勝つのはまだまだ夢の段階ですが、今の子どもたちが大人になって、すごい研究をすれば実現できるかもしれません。