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流行通信

宇宙芸術


パート1

 人間の体がふわーっと浮(う)く無重力の宇宙に行ったらどんなかんじでしょうか?宇宙での無重力をいち早く体験できる宇宙飛行士に、その様子を形にして、わかりやすく伝えてもらおうというのが「宇宙芸術」です。


 無重力を活かした「アート」表現によって、宇宙のことや地球のこと、人間のことを考えてみようという実験が、今まさに国際宇宙ステーションにある日本の実験棟(とう)(JEM)「きぼう」で行われています。これまで、紙粘土(ねんど)やインクを使った作品ができています。


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(写真は無断でコピーをしないでください。)

 2008年8月、宇宙飛行士が粘土を使って約40分間で2つの「ひとがた」を作りました。小・中学校で使われるような軽量の粘土を、アルミ製の箱に入れて地球から持っていきました。粘土を箱から取り出すと、半分に割って、1つが手の平くらいの大きさです。まず粘土をもみほぐして、かたまりを引きのばしながら、顔や手をつくります。こうすると、体のそれぞれのパーツが外れてしまうことがありません。


 最初に、スペースシャトルの中ではどのように感じるのかを表した人の姿を作ってもらいました。すると、シャトルの中で移動している様子を表現した、飛んでいるような「ひとがた」になりました。次に、自由に作ってもらったところ、できたのは「未来の人間」。目や鼻を作るとき、自分の顔を思い出しながら形にしたようです。風船のようにフワフワ浮きながら、手と頭を使ってあれこれ考え、とても楽しそうに作っていました。


 人間は、大昔から新しい生活環境(かんきょう)の中で「ひとがた」を作ってきました。宇宙でも、「ひとがた」作りは、自分と向き合うことができる大切な時間になったようです。この実験を提案した東京芸術大学の米林雄一(よねばやし ゆういち)教授は、「正面から(作品や物事に)取り組むプロセスの中で創造性が生まれます」と話してくれました。未知な宇宙について考えるためには、大きな創造力も必要とのこと。米林先生は、日本で1年に2回ほど、子どもたちと粘土のワークショップを開いています。