願いをかなえる、高機能シューズ
走る機能を高めた子ども用シューズのブームは、2003年に登場した、あるシューズがさきがけとなりました。発売から現在まで爆発的な販売数を記録していますが、このシューズが売れている背景には、学校の体育授業があるようです。体育の授業には「徒競走(ときょうそう)」と呼ばれる短距離走があり、毎年秋(あるいは初夏)に学校行事で行われるスポーツ競技大会「運動会」には、徒競走やリレー競走などの種目が欠かせません。学校では左まわりの小さいトラックを利用することが多く、子どもたちはみな、トラックの急なカーブで転んだりせずに「速く、かっこよく走りたい」と願っているのです。

左右非対称のソールで、コーナーもしっかり走ることできる「This is 瞬足」(協力=アキレス(株))
このシューズの魅力のひみつは、左右非対称のソールにあります。大小のスパイクを左まわりのコーナーを想定して配置し、ゴムと組み合わせてすべりにくくしているので、左まわりのトラックでバランスをくずさず走れるつくりになっています。

小学校の運動会で速く走りたいと願うのはどの子も同じだ(©AFLO)
この商品のヒット後、速く走ることを目的とした子ども用シューズの市場が大きくなり、各メーカーそれぞれ独自の工夫をこらした新しい商品が多く発売されています。ある商品は、反発力が強いゴムをソールにとりいれ、そのバネの力で蹴り出しのパワーを高めるため、直線コースで力を発揮します。また、つま先部分にスパイクを採用するなどして、キック力、ダッシュ力、地面をとらえる力を追求した商品も登場しています。さらに短距離だけではなく、中距離や万能タイプなどもあって種類が増えています。これらのシューズは、すぐれた機能を持ちながら、すべてふだん履きのシューズとして使えるところが画期的でした。
そして、子どもたちのシューズの進化は、ランニングだけに留まっていません。高くジャンプできるもの、サッカーをする時、右足はボールを蹴りやすくし、体を支える左足はすべりにくくしたもの、つま先近くの丸いソールが回転やステップを助けヒップホップダンスがうまく踊れるようにしたものなど、ほかのスポーツに対応したシューズがつぎつぎに開発されています。デザイン性にもすぐれ、履くのがうれしくなるようなかっこいいものばかりです。
高機能シューズは、これからますます種類も豊富に多機能になり、私たちに運動をする楽しみを与えてくれることでしょう。

ソールに3本あるバネのパワーで力強い走りができる「スーパースター J252」
(協力=(株)ムーンスター)

動きの激しいヒップホップ・ダンスをうまく踊れる「瞬足ダンス」(協力=アキレス(株))
(2012年3月更新)