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ハイテクジャパン

海に浮かぶ発電所


パート1

福島県沖で発電を始めた風車

福島県沖で発電を始めた風車 © 共同通信社

 地球温暖化や環境汚染を防ぐため、自然エネルギーの利用が世界中で拡大しています。日本では、陸地から離れた海上に風車を浮かべる、新しいタイプの風力発電設備の研究が進んでいます。風車と発電機を組み合わせる風力発電には、精密な機械や電子部品が多く使われており、日本には優れたメーカーがたくさんあります。世界中の海上油田で使われている、海に浮かべる石油やガスの生産設備の建造や据え付けを手がける企業もあります。精密な機械を使った大型設備を海に浮かべ、電力を安定して陸上へ送り続ける洋上風力発電の研究には、日本が持つさまざまな分野の技術が使われています。


直径80メートルの風車

洋上風力発電のイメージ

 2013年11月、東日本大震災で大きな被害を受けた福島県の沖合約20㌔に浮かぶ1つの巨大な風車が発電を始めました。風車の直径は80㍍、海面からの高さは106㍍です。台風で20㍍の波が来ても耐えられるよう、6本のチェーンとアンカーで深さ120㍍の海底に係留されています。2000㌔㍗の電力を生み出すことができ、これは1700~2000戸の家庭が消費する電力に相当します。


工場で組み立てられ、福島県沖へ運ばれる風車(資源エネルギー庁提供)

工場で組み立てられ、福島県沖へ運ばれる風車(資源エネルギー庁提供)


福島県沖に到着した風車(資源エネルギー庁提供)

福島県沖に到着した風車(資源エネルギー庁提供)

電力を中継する洋上サブステーション。遠くに発電用風車が見える(資源エネルギー庁提供)

電力を中継する洋上サブステーション。遠くに発電用風車が見える(資源エネルギー庁提供)

 風車がつくった電力は、約2㌔離れた海上に浮かぶ「洋上サブステーション」に送られます。18㌔先の陸地へ届くまでに電力が弱くならないよう、ここで電圧を高くします。洋上サブステーションには、上空200㍍までの風向や風力をレーザー光線で観測する装置や、高波で船から乗り移れないときのため、ヘリポートも設置しました。


 この風力発電は日本政府が計画し、日本の大学や機械メーカー、造船会社などが参加しています。2015年春までに、さらに大型の風車2基を近くに浮かべます。2基の風車はともに直径160㍍、海面からの高さは200㍍あります。1基で7000㌔㍗の電力をつくることができ、これは海に浮かべるタイプの風力発電設備としては世界最大です。沖合の風や波に耐えられるよう、風車の土台部分には特別な鋼材や溶接方式を採用しました。陸から遠く離れた海上では、設備の維持や修理にも手間が掛かるため、発電機の状態を遠くから監視する仕組みも研究します。