発想の転換が生んだ、新しいジェット機のかたち

エンジンが翼の上にある画期的な構造
©Honda Motor Co., Ltd.
日本の産業ときけば、先端技術を駆使した自動車や家電を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、日本の先端技術は、ジェット旅客機にも生かされており、電子部品や、炭素繊維を用いた翼など、機体の一部に日本製のものが数多く使われています。

HondaJetが飛んでいるようす(2011年12月撮影) ©Honda Motor Co., Ltd.
これまで主に部品供給に徹してきた日本企業でしたが、今、ふたつの新しい飛行機の開発と量産化が進んでいます。ひとつは、乗客数5~6名の小型ビジネスジェット機である「HondaJet(ホンダジェット)」、もうひとつは、70~90席の中・近距離用のジェット旅客機である「MRJ」(三菱リージョナルジェット)です。いよいよ、国産ジェット機が世界の空を飛びかう日も近いと、期待が高まっています。

スタイリッシュで快適な室内空間を実現した内部 ©Honda Motor Co., Ltd.
1980年代に航空機の研究を開始したホンダが、2012年に生産を開始するホンダジェットは、翼の上にエンジンをのせた独特のスタイルが目をひきます。ビジネスジェット機は、これまでエンジンを胴体のうしろに配置するのが一般的でしたが、ホンダジェットでは翼の上にのせるという画期的な設計がなされたことによって、客室が約2割広くなり、客室内の静かさも増して、乗りごこちが格段によくなりました。そればかりでなく、空気抵抗を小さくできたことで、従来のビジネスジェット機に比べ、燃費を約2割減らすことができ、速度を約1割速くすることができました。一見、奇抜にも見えるこの姿は、広い機内空間、高い性能、低燃費を実現するための「必然的な形」だったのです。