電気自動車の時代がやってきた
世界中の自動車ジャーナリストが、最もすぐれた新車に贈る、「世界カーオブザイヤー賞」という賞があります。2011年は、日産自動車の「リーフ」が、電気自動車として初めての受賞を果たしました。「ガソリン自動車と同じ感覚で乗れる、世界初の実用的な量産電気自動車」というのが、その理由です。「リーフ」はすでに5つの大陸で販売されており、2010年末からの1年間で、約2万台を販売しました。
世界カーオブザイヤー賞に輝いた電気自動車「リーフ」 ©日産自動車
日本の電気自動車は、「リーフ」が初めてではありません。2009年には三菱自動車が「i-MiEV」という小型電気自動車を販売し、これまでに国内外で約2万台を出荷しています。2012年春にはマツダが「デミオEV」、夏にはホンダが「フィットEV」を、トヨタが「FT-EV ?」を販売する予定です。日本は、この分野では先頭を走っているといってもいいでしょう。
国内で初めて市販された電気自動車「i-MiEV」
©三菱自動車
一般には「新時代の乗り物」というイメージが強い電気自動車ですが、その歴史は意外に古く、ガソリン自動車とそう変わりません。1886年に実用化されたガソリン車に対し、電気自動車は1873年には使用されていたといわれています。アメリカの「発明王」として知られるトーマス・エジソンも、熱心にその改良と普及に取り組んでいました。しかし、20世紀はじめになると高性能のガソリン自動車におされ、電気自動車は姿を消していきます。一回の充電で走ることの出来る距離の短さ、そしてパワー不足が大きな弱点でした。
しかし、20世紀後半になって、人びとは電気自動車に再び目を向けるようになります。きっかけのひとつに、環境問題がありました。大気汚染の原因でもあった自動車の排気ガスに厳しい目が向けられ、大量に排出される二酸化炭素は、地球温暖化の要因とも指摘されました。そのため、メタノール車、天然ガス車、ハイブリッドカーなどの「低公害車」がつぎつぎと開発されましたが、走行中にCO2を全く排出しないのは電気自動車だけであり、「環境にやさしい車」なのです。