日本の正確な検査技術
![ひび卵検出装置](images/004.jpg)
ひび卵検出装置 (C)ナベル
![卵の汚れを検査](images/005.jpg)
赤と青のダイオードで卵の汚れを検査 (C)ナベル
![高速知能ロボ](images/006.jpg)
高速知能ロボによるパック詰め (C)ナベル
![旋回フィンガー](images/007.jpg)
旋回フィンガー (C)ハンス・サウテル
![パックにシールを貼ります](images/008.jpg)
パックにシールを貼ります (C)ハンス・サウテル
次に卵の殻にひび割れがないかを検査します。卵はローラーの上を回転しながら運ばれますが、そのとき、重さ0.8gのハンマーが16本も待ちかまえていて卵をたたいていきます。「パン」という音がすれば卵にひびはありません。しかし、「パシッ」という音がすればひびがあります。たたくといっても割れてしまっては意味がありません。ハンマーの動きは触(ふ)れる程度の強さに調整されています。ただ、卵の大きさや殻の厚さによって音は微妙(びみょう)に変わりますので、その判断は難しいものです。日本の技術は世界最高水準の検出率(けんしゅつりつ)95%を誇(ほこ)っており、卵を正確に検査することができます。
ひびの検査が終わったら、画像検査によって殻が汚れているかどうかを検査し、その後、卵黄の中に血がないかを検査します。鶏(にわとり)の卵巣(メスの鶏で卵子が作られる部分)などが出血し、卵に混じってしまうことがあります。食べても問題はありませんが、日本では血卵が食用に適さない卵に分類されているため、取り除く必要があるのです。しかし卵の殻を割らずに卵の中をどうやって調べるのでしょうか。懐中電灯(かいちゅうでんとう)の光を手で隠(かく)そうとすると、指の先が赤く光って見えます。これは血液の中に含(ふく)まれるヘモグロビンが青や緑の光を吸収し、赤い光だけを通過させるからです。検査機の原理も同じです。光を分光分析(ぶんこうぶんせき)しており、光の波長が吸収されるかどうかで血があるかを調べます。少量の血でも検出することができます。
検査が終わったら、卵の重さを計量(けいりょう)し、大きさ別に分けます。次に活躍(かつやく)するのが高速知能(こうそくちのう)ロボットです。大きさ別にどのくらい卵がたまっているかを常に監視(かんし)しています。たくさんたまっている大きさのところに素早く移動して、卵が10個入るパック6枚分の卵を瞬時(しゅんじ)に吸着(きゅうちゃく)します。パックに挿入(そうにゅう)したら、最後にパックにシールを貼(は)って終わりです。
ひとつの作業が終わり、卵を移動することも大切です。できるだけ衝撃を与(あた)えないように注意する必要があります。卵を素早く吸引して高速移動するオートローダーや、ラインを停止することなく特定の卵を集めて、移動させる旋回(せんかい)フィンガーなどの世界最先端(せかいさいせんたん)の技術が使われています。
(2011年1月更新)