簡単(かんたん)に、きれいな写真を撮りたい―。日本では、そんな願いをかなえるデジタルカメラ(デジカメ)が続々と開発されています。顔を覚えて追いかけながら自動でピントを合わせてくれる機能や、目をつぶってしまった時に知らせてくれる機能など、ユニークな仕組みをたくさん詰(つ)め込んだデジカメが人気です。
誰でも美しい写真が撮れる
日本では高機能な小型デジタルカメラが次々開発されている ©ニコン:NIKON
高機能な日本のデジカメの技術は、フィルムカメラの時代から育まれてきました。昔からプロカメラマン用の高性能な一眼レフカメラ・レンズはたくさんありましたが、普通の人には操作が難しく、専門知識や技術が必要で、また普段の生活で持ち歩くにはかさばり不便なものでした。そこで、日本のカメラメーカーはこの半世紀の間、誰もが日常の生活や旅先などで簡単な操作で美しい写真が撮れることを目標に、一眼レフカメラやコンパクトカメラの開発で世界をリードしてきました。今では当たり前の機能ですが、自動的にピントを合わせるオートフォーカス(自動焦点)を1977年に世界で初めて実用化したのも、日本のカメラメーカーです。
最新機能が盛り込まれた新製品のコンパクトデジタルカメラが並ぶ家電量販店の店頭
21世紀に入って、フィルムカメラからデジカメの時代となり、オートフォーカスは、さらに進化し続けています。目覚ましいのは顔を探し出してきれいに写す顔認識機能(かおにんしききのう)です。カメラに家族や友達の顔を登録しておけば、大勢で写真を撮る時や、観光地の人混みの中で記念撮影する時でも、カメラが登録された顔を自動的に探し出して、優先的にピントと顔の明るさを合わせてくれます。機種によっては最大16人も登録できたり、横顔や犬などのペットの顔までも認識してくれる便利なカメラだってあるのです。また、友達との記念撮影でベストショットを必ず残せるように、カメラが自動的に笑顔だけを選んで撮影する機能が付いたカメラもあります。人が笑う時の目元と口元、歯の動きから笑顔を判断して、自動的にシャッターを切ってくれる仕組みです。
中央の補正用レンズが、揺れの反対方向に動いて手ぶれを補正する仕組みのイメージ ©ニコン:NIKON
オートフォーカスのほかにも、シャッターを押す時に、手元が動いてきれいな写真が撮れない「手ぶれ」の悩みを解消するため、1994年に世界で初めてレンズの一部を動かしてぶれを自動的に補正する機能をフィルムカメラに取り付けたのも日本のメーカーでした。撮影した後、その場で写り具合を確認できる液晶(えきしょう)モニターのシステムも1995年に、日本のデジカメが世界で初めて実現しました。こうした日本のメーカーの高い技術力が積み重なり、誰でも簡単にきれいな写真が撮れるデジカメの時代がやって来たのです。