野菜の粉と米ぬかから取れる米油やワックスを主原料に作られた「おやさいクレヨン」(提供:mizuiro)
日本では、曲がったり、傷があったりするだけで捨てられていた野菜や、加工工場で発生する野菜クズ、卵の殻を有効活用しようと、さまざまな取り組みが行われています。
野菜特有の香りや苦み、色をプラスに ― お茶、クレヨン、粘土
無駄をなくそうという考え方が、近年高まっています。野菜のお茶も、その一つです。野菜特有の香りや苦みをプラスに変えるため、スライスした野菜を蒸して乾燥させたり、熱を加えたりして、捨てられるはずの野菜が香ばしいお茶に変身します。
また、鮮やかな野菜の色に注目し、野菜を細かく砕いた粉に米ぬかを用いたワックスを混ぜて作ったクレヨンは、安全性の高い文具として注目されています。野菜の粉末とトウモロコシのでんぷんを主原料に作られた粘土も人気です。
アスパラガスは、通常食べない葉と茎の固い部分を乾燥させて加熱すると香ばしいお茶になる(提供:FlowerTea)
野菜クズが色付けの材料に
野菜の加工段階で発生する野菜クズの再利用も進んでいます。以前はゴミになっていましたが、増え続ける野菜クズに注目した会社が、商品として活用することに成功しました。例えばカット野菜を扱うメーカーは、毎日大量の野菜のカスが出ます。コーヒー店では毎日、コーヒー豆を使ってコーヒーをいれた後に大量のカスが出ます。それをゴミとして捨てるのではなく、日本や海外で特許を取った日本独自の特殊な技術で色付けの材料を作り、糸を染めて布を作り、Tシャツやバッグなどが作られています。
野菜クズなどの天然の材料を活用して染めたTシャツとバッグ(提供:豊島)
卵の殻も再利用
捨てられる物の再利用として面白いものに、卵の殻もあります。日本人は、世界で3番目にたくさん卵を消費する国と言われています。菓子やマヨネーズなど、卵は加工食品の製造に欠かせません。これまでは卵の殻を資源として活用することが難しかったため、そのまま捨てられていました。しかし、卵の殻は、建築の材料や紙、プラスチックなど、さまざまな工業製品に活用されている炭酸カルシウムとほとんど成分が同じで、うまく活用する方法があったのです。今では、卵の殻は、校庭などに引く白線や学校で使うチョークにリサイクルされるようになってきました。肌にも優しいと好評です。
卵の殻がスポーツ用の白線や、チョークに変身(提供:グリーンテクノ21)
再利用できるものは有効に使い、人間にも地球にも優しい社会を目指そう、という試みが、これまでゴミとして捨てられてきた物に新たな活躍の場を与えてくれています。
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