使わなくなった小型家電をリサイクルして、2020年東京オリンピック・パラリンピックのメダルを作るプロジェクトが日本で進められています
使わなくなった携帯電話やデジタルカメラが、2020年東京オリンピック・パラリンピックで輝くメダルに生まれ変わる。そんなプロジェクトが動き始めています。日本の国民に参加を呼び掛けて、集めた小型家電から抽出した金属を活用し、アスリートに渡される金・銀・銅のメダルを製作するのは、 オリンピック・パラリンピック史上初の取り組みです。2017年春から、国民にいらなくなった小型家電の回収を呼び掛ける動きが始まり、続々と必要な金属が集まっています。
プロジェクトへの参加を呼び掛けるイベント(都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト提供)
携帯電話、スマートフォン回収用ボックス(都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト提供)
テレビ番組で子どもたちに人気の戦隊ヒーローに扮し、リサイクルを呼び掛ける(都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト提供)
不要な小型家電をリサイクルボックスに入れる子どもたち(都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト提供)
都市鉱山って何?
携帯電話やデジタルカメラ、パソコンなどの部品には、金などの貴重な金属がわずかながら含まれています。いらなくなった小型家電をリサイクルしてこれらの金属を取り出し、大会で必要となる金、銀、銅合わせて約5000個のメダルを作ってしまおうという計画です。2017年4月から本格的に、全国各地の自治体や企業が協力し、小型家電の回収が始まりました。大会を開催する東京都をはじめ、多くの都道府県や市町村もこの取り組みに賛同し、回収場所は全国各地に広がっています。
回収された使用済みの携帯電話(都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト提供)
回収された使用済みの小型家電(都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト提供)
使わなくなった小型家電から回収されたレアメタル(希少金属)。1トンの中に100グラム以上の金が含まれている。金以外に銀、銅、パラジウムなども含まれている(都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト提供)
使わなくなった小型家電に含まれるこうした金属は、これら小型家電が街中に多く流通し、家庭内でも貯蔵されていることから、総称して「都市鉱山」と呼ばれています。専門家によると、日本中で集めれば5000個のメダルを作るのに十分な量になるそうです。2013年にできたリサイクルの法律によって回収する仕組みが整えられました。金属を取り出して再び使えるようにする技術は以前からありましたが、あまり国民に知られていませんでした。そのため、これまでは廃棄する全体量の1割ほどしか集まっていなかったそうです。多くの貴重な金属が捨てられたままになっていたのです。
(都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト提供)
自分の携帯電話がメダルに
今回のプロジェクトは、まずメダルを作ることが大きな目標です。そして、自分の携帯電話などがメダルになるということで、日本の国民に東京オリンピック・パラリンピックをより身近に感じてもらえれば、全国的な大会の盛り上がりにつながると期待されています。しかし、目的はそれだけにとどまりません。世界が注目するオリンピック・パラリンピックのメダルをリサイクルした金属から作れば、必要なくなった家電製品も有効活用できるということを、日本中、そして世界の人々にもっと知ってもらうチャンスになると期待されています。
使用済みの小型家電から回収された金で作った金メダル
2017年4月、本格的に開始した使用済みの小型家電の回収についてPRする、オリンピックの金メダリスト
「もったいない」を世界に広げよう
日本には、最近世界でも知られるようになった「もったいない」という言葉があります。物を大切にし、使えるものは無駄にせず使い続けるという考え方です。今回のプロジェクトは、まさにこの精神を行動に移すものです。近年では、世界でも環境に優しくするにはどうしたらよいかということが盛んに議論されています。今回のプロジェクトをきっかけに、世界中にリサイクル文化が広がれば、東京オリンピック・パラリンピックが残した大きな功績となることでしょう。