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流行通信

将棋―日本育ちの対戦ゲーム


パート1

東京都内の将棋教室で、対戦しながらゲームを学ぶ子どもたち(撮影協力 日本将棋連盟)

東京都内の将棋教室で、対戦しながらゲームを学ぶ子どもたち(撮影協力 日本将棋連盟)


 日本で古くから多くの人に親しまれているゲームの一つに「将棋(しょうぎ)」があります。2人が敵と味方に分かれて向かい合い、縦横81マスに区切られた四角い将棋盤の上で文字が書かれた札の「駒(こま)」を動かして勝敗を争う、チェスのようなゲームです。もとになるゲームは、古代インドで生まれたという説が有力です。日本に6世紀ごろに伝わり、15、16世紀ごろに日本独自のゲームのかたちが完成しました。


「王将 」は「キング」

 将棋の対戦者は、「王将 (おうしょう)」をはじめとする8種類20枚の駒を将棋盤上の自分の陣地に並べてゲームをスタートします。交互に味方の駒を動かして相手の駒を奪い合い、先に相手の王将 を奪ったプレーヤーが勝者となります。こうした基本的なゲームの進め方は、ヨーロッパで生まれたチェスと同じです。


今にも動き出しそうな恐竜の食玩フィギュア

 例えば、相手に奪われたら負けになってしまうという最も重要な駒の「王将 」とチェスの駒の「キング」は、その役割だけでなく、縦横斜めの8方向に1マスずつ移動できるという動き方までそっくりです。また、「歩兵(ふひょう)」と「ポーン」は真っ直ぐ1マスずつ、「飛車(ひしゃ)」と「ルーク」は縦横何マスでも進められ、「角行(かくぎょう)」と「ビショップ」は斜めにどこまでも進めるといった具合に、まったく動きが同じ駒もあります。


 ただ、将棋では6種類の駒が、相手の陣地に入ると、動き方を変えて強い駒になれるという決まりがありますが、チェスで同じ“能力”を備えている駒はポーンだけです。また、相手から奪った駒を、味方の駒として再び使うことができるというのも将棋だけの特別なルールです。



礼儀作法が身につく

将棋教室で戦法を学ぶ小学生たち(撮影協力 日本将棋連盟)

将棋教室で戦法を学ぶ小学生たち(撮影協力 日本将棋連盟)

 将棋では、勝負が決まると、負けた側は「負けました」と声を出して礼をし、勝った側も礼をしてお互いの健闘(けんとう)を認め合います。勝っても喜んでガッツポーズなどをしないのがマナーです。対戦を始める時の「お願いします」のあいさつなども含め、将棋は、まるで伝統を重んじる武道のように、社会生活をするための基本的な礼儀作法を身につけさせてくれます。


 また、将棋を学ぶことで、自分や相手が置かれた状況を判断する力、迷った時に決断する力、決して勝負をあきらめない忍耐力などが自然に身に付くとも言われます。


12マスの盤の上で、合計8枚の駒を使って対戦できる「どうぶつしょうぎ」。ライオンを捕まえるか、相手の陣地にライオンが入ったら勝ち、というルール(C)Madoka Kitao,Maiko Fujita

12マスの盤の上で、合計8枚の駒を使って対戦できる「どうぶつしょうぎ」。ライオンを捕まえるか、相手の陣地にライオンが入ったら勝ち、というルール(C)Madoka Kitao,Maiko Fujita

 こうしたことから、長い間、大人が楽しむゲームだと思われてきた将棋は、最近では子どもたちの才能や能力を伸ばす学習の一つとして見直されるようになりました。塾の勉強のような感覚で将棋教室に通う子どもたちも増えています。


 さらに小学校に入る前から将棋の楽しさを知ることができるようにと、12マスの盤の上で合計8枚の駒を動かして遊ぶ「どうぶつしょうぎ」も開発されました。それぞれの駒はライオンやヒヨコのイラストが描かれたかわいらしいデザインですが、やってみると将棋の面白さが詰め込まれていて、大人でもじゅうぶんに楽しめます。


将棋盤を挟んだ真剣勝負を通じて、技と心を鍛える子どもたち(撮影協力 日本将棋連盟)

将棋盤を挟んだ真剣勝負を通じて、技と心を鍛える子どもたち(撮影協力 日本将棋連盟)