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流行通信

算数が大好きになる─手軽な計算機「そろばん」


パート1

 「そろばん」は、日本に古くから伝わる手軽な計算機です。ほんの半世紀ほど前までは、商売の売り上げや、生活費を計算する時などに、そろばんは職場や家庭に無くてはならない道具でした。しかし、その役割も、ここ最近では便利な電子計算機やコンピューターに取って代わられてしまったようです。では、そろばんは、もう用済みなのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。そろばんは、子どもたちが算数に取り組む能力を伸ばすために役立つ勉強道具として役割が見直され、日本だけではなく、世界中で利用者を増やしています。


小学校に上る前の子どもも熱心に通う都内のそろばん塾(協力 小池珠算研究塾)

小学校に上る前の子どもも熱心に通う東京のそろばん塾(協力 小池珠算研究塾)


暗算が得意になる

そろばんの部位と名前と数の表し方

 普通のそろばんを上から見ると、木でできた長方形の枠の中に、玉が5個ずつ通された細い棒が何列も横に並んでいます。これらの玉を上下に指で弾くように動かして数を数えるのがそろばんを使った計算方法「珠算(しゅざん)」の基本です。玉を通している棒は「けた」と呼ばれ、左に行くほど位が大きくなります。千の位でも、億の位でも、けたがあるだけ大きな数を数えることができるのです。


モニターを見ながら暗算のトレーニングをする子どもたち(協力 小池珠算研究塾)

モニターを見ながら暗算のトレーニングをする子どもたち(協力 小池珠算研究塾)

 そろばんは、簡単な玉の動かし方のルールを覚えるだけで、誰でも、足し算や引き算、かけ算、わり算ができてしまいます。さらに訓練すれば、頭の中で数字を絵として思い浮かべることができるようになり、近くにそろばんが無くても、素早く計算ができるようにもなれます。町のそろばん教室に行くと、子どもたちが、パソコン画面に映し出された数字を見ながら、まるで空中でそろばんを弾いているように指を動かして暗算を練習している様子が見られます。


メソポタミア生まれ

 そろばんの元になった道具は、4000年前に現在のイラクの一部に当たるメソポタミア地方で生まれました。それがエジプトやローマで進化し、中国で今のそろばんの原型が完成したと言われています。日本に伝わったのは500年ほど前ですが、中国式そろばんは、玉が縦に7つ並んでいました。改良された日本式そろばんは、縦に並んだ玉の数を5個に減らしただけでなく、デザインも変更されました。中国の玉が丸かったのに対し、日本式の玉は、素早く弾くことができるよう横から見た形が六角形をして、指に引っかかりやすくなっています。