日本は、世界トップクラスの性能で知られる高速鉄道の「新幹線」や、時間ぴったりに乗客を運ぶ鉄道の運行システムで知られています。そんな優れた鉄道を身近に感じている子ども達の心は、いつのまにか「電車を運転してみたい!」という気持ちでいっぱいです。日本では、そんな子どもたちの夢や憧れを育むおもちゃやゲーム、文具などが作られ、長く愛され続けています。
54年のロングセラー
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プラレールショップでディスプレーを眺める子どもたち
青いプラスチックのレールの上を、モーター仕掛けのミニチュア列車がとことこと走ります。男の子たちがディスプレーを取り囲んで熱心に見つめているおもちゃは「プラレール」です。最初の発売から54年も経っていて、日本の男の子なら一度は遊んだことがある大人気のおもちゃシリーズです。これまで売られたレールをすべてつないだとすると、長さは10万㌔を超え、地球を2周半するほどです。
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ずらりと並んだプラレールの新幹線
(タカラトミー 提供)
プラレールは最初、手押しの蒸気機関車タイプでした。その後、モーター仕掛けに改良されました。発売から5年後の1964年には、この年に開通した新幹線「ひかり号」タイプを登場させるなど、半世紀の間、かっこいい新型の車両ができるたびに新製品を発売しており、人気も途切れることなく続いています。
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高さ1.5㍍のアート作品のように見事に組み上がったプラレールのレール(東京の喫茶店「カフェ プラたく」)
多くの子どもたちが最初に買ってもらうプラレールは、列車と、列車が一周できるだけのレールのセットです。子どもたちはレールの上を走り回る列車を1日に何十周も眺めながら、まるで自分が列車を運転しているような気分を楽しみます。パーツは買い足せるので、レールをつなぎ合わせて長くしたり、道路が線路を横切る踏切や列車の行き先を二つの方向に変えるポイント、トンネル、駅舎、川を越える鉄橋などを追加したりするなど、どんどん部品を増やして、自分だけの鉄道の世界を作り上げます。
プラレールのレールは、平面に広げるだけでなく、立体パズルのように複雑に組み立てることができます。上手な人なら高さ1㍍を超すぐらいまでぐるぐるとレールをつなげられます。まるで迷路のように入り組んだレールの上を、列車が上や下、右や左にと走りまわる様子は、動くアート作品のようです。
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プラレールで作った「おもちゃのまち」(タカラトミー 提供)