広がるアートの世界
書道は、優れた芸術として知られ、海外でも多くの展覧会や個展が開かれています。日本国内だけでなく、海外の人たちにも書道を学んでもらおうと普及活動に取り組んでいる団体もあります。
一方、古くからの様式を受け継いだ伝統的スタイルだけでなく、書道は、独特の力強さや勢いを表現できる筆を使った現代アートとして、広告や衣服など様々な用途に取り入れられています。

漢字の「愛」と英単語の「Love」をミックスして表現した「E漢字」の作品
© 楽書家・今泉岐葉
英語のアルファベットを組み合わせたデザインを楽しめる「E漢字」も、そんな現代的な書道のスタイルの一つです。漢字の書体の中に、漢字と同じ意味を表すアルファベットを組み合わせていて、外国人でも、ひとめで意味が分かるように工夫されているのが特徴です。飛びはねるような勢いを持った文字や、柔らかくやさしい表現で書かれた文字が、まるで絵のように目に飛び込んできます。
かっこいいパフォーマンス

大きな筆を使って、書道パフォーマンスの練習をする生徒(創価高校 協力)
伝統的には静かな部屋で、心を落ち着けて書く書道ですが、最近では、街角やステージで音楽に合わせて踊りながらダイナミックに作品を完成させる書道パフォーマンスが、子どもや若者の間で人気です。毎年夏には、高校生の書道部員たちが参加する競技大会の「書道パフォーマンス甲子園」が開かれていて、2010年には、この競技大会を初めて開いた高校生たちの物語を描いた映画「書道ガールズ」も公開されました。

「書道パフォーマンス甲子園」で生徒たちが仕上げた作品(創価高校 提供)

イベントで書道パフォーマンスに挑戦する小学生のチーム(一樹会 小塩蒼流さん提供)
甲子園では、日本各地の予選で選ばれた20チームが、それぞれ縦4㍍、横6㍍という大きな紙の上で、大きな筆をダイナミックに振るって一つの作品を仕上げます。作品の美しさだけでなく、音楽に合わせてダンスをしたりする生徒たちのパフォーマンスも競うユニークな大会です。こうしたパフォーマンスチームが見せるかっこいい書道は、子どもたちのあこがれとなっており、最近では小中学生が加わったパフォーマンスチームの活動も盛んになっています。
書道は、さまざまなスタイルで日本文化に根づき、子どもたちの心と体を健やかに育んでいます。
(2013年8月更新)