「宇宙を旅してみたい」―。この誰もが願う大きな夢の実現に向けて、日本では本格的な科学イベントが数多く生み出されています。さまざまな研究を通じて分かってきた宇宙の姿をリアルな映像で見たり、宇宙飛行士が実際に使っている機器や訓練に触れたり、時には宇宙船のようなデザインのバスや船に乗り込む遊びなどを通じて、子どもたちの宇宙への夢が無限に広がっています。
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宇宙空間から地球やほかの惑星を眺める体験ができる宇宙体感シアター「スペースボール」 ©テレビ東京
宇宙空間に浮かんだ気分
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東京都内の文化施設に設けられた「スペースボール」 ©テレビ東京
2012年12月、東京都心の文化施設にボールの形をした特殊なプラネタリウム施設が登場しました。直径約9?の球体の内部に入って、宇宙空間に包まれたような感覚で映像を楽しめる宇宙体感シアター「スペースボール」です。
球体の中では、高性能プラネタリウムと19個のプロジェクターが、宇宙の映像をつなぎ目無く映し出します。足もとの床の下まで、360度の周囲をすべて星空の映像と立体音響で囲まれていると、まるで宇宙空間の真ん中に放り出されたような、不思議な気分です。今も天の川銀河の果てに向かって旅を続ける惑星探査機「ボイジャー」から見た宇宙空間や、国際宇宙ステーション(ISS)から見た地球の夜景は、実際に宇宙を体験した飛行士でも実写映像と間違えるほど本物そっくりに描かれています。
この球体プラネタリウムを開発したのは、日本を代表するプラネタリウム・クリエーターの大平貴之さんです。大平さんは、エストニアでも同じスタイルの球体のプラネタリウムを造りましたが、今回の「スペースボール」は「移動式」に進化しました。2013年中には、日本国内の主要都市でのイベント開催を予定しています。
宇宙の彼方へ、137億光年の旅
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「スター・クルーズ・プラネタリウム」は入り口に飾られた近未来の宇宙船の模型が、旅立ちの雰囲気を盛り上げてくれる
その大平さんがプロデュースするもうひとつの科学イベントが、2010年から毎年、東京都心の高層ビルで開かれています。過去2回で45万人の観客を集めた人気イベントの2012年版は、「スター・クルーズ・プラネタリウム」と題する豪華宇宙船の旅です。
光速の船に乗って目指す旅の目的地は、137億光年先の宇宙の果てです。最新の研究成果を取り入れたCG映像に描かれているのは、無数のあわ粒のように数千億個の銀河が集まった大宇宙の全体像や、300億年後の地球の姿です。幅25?の大型スクリーンに見入っていると、惑星が、まるで本当の宇宙船の窓から見たように感じられ、近づいては遠ざかるたびに、引力で引っ張られているように感じられます。会場には、ほかにも500万個の星を映し出す高性能プラネタリウムの部屋や、小さな特殊発光体で作った星が立体的に配置された立体的な宇宙模型の中を歩ける散歩道もあり、いろいろな角度から宇宙に対する理解を深めることができます。
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