日本では毎年3月3日になると、家庭や地域で女の子の健康や将来の幸せを願う「ひな祭り」の行事が開かれます。それぞれの家庭で、色鮮やかな着物を着た「ひな人形」を飾り、ごちそうを食べて過ごします。春に咲く桃の花を飾り、家の中だけでなく、地域独自のひな祭りイベントも催され、日本中が華やかな雰囲気に包まれます。
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色鮮やかな衣装を着た「おひな様」を楽しそうに眺める女の子(日本人形協会提供)
災難を背負わせて流す風習が起源
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ひな祭りの起源とされる「流しびな」。わらで作った丸い舟に人形を乗せて川に流すのが習わしとなっている(鳥取市用瀬町「流しびなの館」提供)
ひな祭りは、冬から春への季節の変わり目に病気などをせずに過ごせるように、災難を背負わせる人形(ひとがた)を紙などで作り、川に流した日本古来の「流しびな」の風習がもとになったとされています。それが、いつしか裕福な家庭で親しまれていた人形遊びと一つになり、江戸時代(1603―1868年)の初め頃に、今のひな祭りのスタイルができ上がりました。
昔は、家庭で忙しく働く女性たちに感謝する日という意味あいも強く、その日だけは女性たちが、ごちそうを食べたりしながら、のんびりと遊んで過ごせたようです。今でも、それぞれの家庭では、甘い砂糖をまぶしたお菓子の「雛(ひな)あられ」や、きれいな色の餅(もち)を重ねた「ひし餅」、ひな祭りならではの色鮮やかに具材をちりばめた「ちらし寿司」などの伝統料理を食卓にならべて、お祝いをします。
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