
東京駅の新名所「東京おかしランド」で、お菓子選びを楽しむ人たち
日本のお菓子売り場は、色とりどりの楽しいパッケージに包まれた子供向けお菓子でいっぱいです。中でも、大きさ数センチ程度の小さな植物や動物の形などミニチュア細工のように見た目がかわいらしいお菓子の数々には、手先が器用な日本人独特の発想が生きているようです。チョコレートとクラッカーを組み合わせたキノコやタケノコのおもちゃのようなチョコレート菓子や、エビやイカ、フグなど十種類以上の海の動物の形をした小粒のスナック菓子は、見ているだけでも楽しくなります。
味や口当たりに関して常に新しいアイデアを取り入れて改良を重ねているのも、日本のお菓子の特長です。1964年に発売された塩味のスナック菓子は、日本の郷土料理や韓国料理、タイ料理などを研究して、この26年間で70種類を超す新しい味の新商品を売り出しました。また、新しい味わいのチョコレートを開発する中で、シリアルに染み込ませて軽い食感にしたり、オーブンで焼いて奥深い味を出すなど、新製法も次々と生まれています。
アイデア取り入れ、世界で5億個売る
1966年に売り出された細いプレッツェルにチョコレートをコーティングしたお菓子は、食べる人の手がベタベタと汚れないようにチョコレートで包まない部分を3㌢ほど残すという、当時としては驚きのアイデアを取り入れて作られました。このメーカーによると、最初は作業を機械化できずに、手作業で商品を仕上げていたそうです。このお菓子は、今では、世界4カ国で生産され、30を超す国や地域で年間5億(おく)個販売されている、日本を代表するお菓子となっています。

世界で年間5億個売られている人気のスナック菓子「ポッキー」(欧州では「MIKADO」)
© 江崎グリコ
そして、味や口当たりにたくさんのバリエーションがあるのも、日本のお菓子の特長です。このお菓子も、味や口当たりが違う多くの種類を出していることでも知られています。チョコレートの代わりに本物のイチゴの果肉や種を加えたクリームを使ったり、チョコレートに砕いたアーモンドを混ぜたり、素材に小麦ふすま(ブラン)を混ぜて香ばしさを出したりと、これまで100種類以上が発売されました。口溶けの良いチョコレートを使った30-40歳台の女性向け新商品など、大人向けの味もたくさん作られています。
日本のお菓子メーカーの多くは、常に新しいアイデアを取り入れて味や口当たりに工夫を重ねることで、大人から子供まで世代を超えて愛される商品づくりに取り組んでいるのです。
大活躍するキャラクターたち
お菓子のパッケージを見ただけで、甘く幸せな味の思い出が口の中に広がってしまったことがありませんか。日本にも、そんな幸せを運んでくる人気キャラクターたちがいます。
代表的キャラクターと言えば、なんといってもミルク味のキャンディーのマスコットキャラクターで、ぺろりと舌を出した表情がかわいい6歳の女の子「ペコちゃん」でしょう。ペコちゃんは1950年にデビューしました。オーバーオールを着た身長100㌢の女の子は、やがて国民的人気者となり、キャンディーのパッケージを飾るだけでなく、雑誌の表紙モデルや交通安全キャンペーンで活躍したりしました。1976年には、日本の南極観測隊(なんきょくかんそくたい)からの要望があり、ペコちゃん人形が南極の基地に向かいました。基地の食堂に飾られ、越冬中の隊員たちがその笑顔で励まされたといいます。
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![]() 右/南極観測隊に同行したペコちゃん人形(1976年1月8日) |

脇役から主役にのし上がった明治のスナック菓子キャラクター「カールおじさん」
また、スナック菓子のキャラクターとして、日本人なら誰もが知っているヒゲを生やした農民の「カールおじさん」は、1974年にコマーシャル(CM)のアニメーションでデビューしました。カールおじさんは、はじめのCMでは、お菓子を食べる子供の後ろで川に落ちてしまうだけの脇役でしたが、とぼけた表情やしぐさが面白いと評判になり、主役に抜てきされました。今ではこのお菓子メーカー全体のイメージキャラクターとなっています。