日本には150年ぐらい前まで、忍者が活躍していました。忍者は、当時の支配者に仕え、忍術という特別な技術を使ってスパイのような活動をしたり、敵と戦ったりした人々です。もちろん今はいませんが、漫画やアニメ、映画の主人公にもなっているので、海外の人でも忍者のことを知っている人は多いでしょう。日本には忍者の体験ができる施設もあり、休日には子どもたちで一杯です。日本の子どもたちにとって、忍者は今でもヒーローなのです。
特別な能力「忍術」

暗闇で敵に見つからないように、黒や紺色の忍び装束で全身を覆う忍者スタイル (甲賀の里忍術村にて)
日本には、10世紀から19世紀にかけて武士と呼ばれる人々がいました。武士は、忍者と同じようにその地域の支配者に仕えた人々で、今で言えば、その集団は軍隊ということになります。これに対して忍者は、他国の情報を探ったり、敵をかく乱したりするスパイのような活動をしていたので、特殊部隊と考えればいいでしょう。
忍者と言えば、黒に近い服で頭からつま先まで覆っているスタイルが知られています。これは忍び装束と言って漫画などでは、黒だけでなく青や赤の姿もよく描かれています。黒い装束は暗闇でも分からないようにするためと言われていますが、実際は身分を隠すため一般市民と同じような服装をしていたと考えられています。
忍者のすごいところは、さまざまな特殊な訓練をし、忍術という技能を身に付けていたところです。身分を隠すために商人や旅人に変装するのは当たり前。催眠術を使って相手を自分のいいなりにしたり、シュノーケルのようなものを使って水の中に長時間隠れたり、音を立てずに走ることもできました。
もし、相手と戦って自分が不利になると火薬を詰めた玉を爆発させ、すごい光や煙を立てるなど火術も使いました。煙が立ち込めているうちに移動することで、一瞬にして身を隠したのです。
また、手裏剣と呼ばれる武器も使っていました。手裏剣は相手に投げつける鉄製の武器で、両端を尖らせた棒状のものや十字型のものなどさまざまな形があります。忍者は薬学の知識も豊富だったため、手裏剣の刃先に毒を塗り、離れた場所から相手に致命傷を負わせるために使ったりしたのです。

手裏剣は忍者の武器の一つ。敵に向かって投げつける(甲賀の里忍術村にて)