![竹刀を交差させてぶつかり合う、小さな「剣士」たちの攻防](images/kendo-01.jpg)
竹刀を交差させてぶつかり合う、小さな「剣士」たちの攻防
SF映画「スターウォーズ」のジェダイの騎士のように剣を交えてかっこよく戦うヒーローやヒロインになりたい―。日本には、そんな夢をかなえてくれるスポーツ、剣道があります。剣道は、刀の代わりに竹でできた「竹刀(しない)」を持ち、1対1で戦う格闘技です。日本の子どもたちの多くは、着物のような剣道着と、鎧兜(よろいかぶと)のような防具を身につけ、「剣士」となるための訓練をします。しかし、剣道には他のスポーツと違う面があります。それは、日本で培(つちか)われた武道の精神を受け継いでいることです。試合で勝つことだけを目的とせず、礼儀正しく、たくましい精神を持った人間に成長することが、剣道では最も大切とされているのです。
52カ国・地域に広がる
![剣道をする際に身に付ける装備](images/kendo-02j.jpg)
剣道をする際に身に付ける装備
昔、日本に、「侍(さむらい)」と呼ばれる武士たちがいたことを知っていますか。侍は、1000年以上前から江戸時代(1603-1867年)にかけて活躍しました。侍たちは、刀や槍(やり)、弓矢(ゆみや)を武器に、殿様を守ったり、戦争で戦ったりするのが仕事でした。侍たちは、もともと本物の刀や木製の刀で練習をしていたのですが、江戸時代になると、頭を守るマスクの「面(めん)」や手首を守る「小手(こて)」、胸と腹を守る「胴(どう)」などの防具と竹刀を使った練習法が広まりました。これが剣道の元になった「剣術(けんじゅつ)」です。
![試合場で激しく打ち合う選手たち(全国少年少女武道(剣道)錬成大会)](images/kendo-03.jpg)
試合場で激しく打ち合う選手たち(全国少年少女武道(剣道)錬成大会)
やがて、侍が本物の刀で戦う時代も終わり、剣術は、心と身体を強くすることを目的とする「剣道」となりました。剣道をする人は、今では、日本を含む52カ国・地域に広がっています。3年に1度は国際大会も開かれています。
剣道の試合は、レスリングや柔道など他の格闘技と違って体重や身長の区別がないのが特徴です。対戦相手が身につけている防具の決まった場所を竹刀でたたくことで勝負を競います。「面」、「胴」、「小手」が、主な攻撃場所です。これらの場所を、正しい姿勢で、しっかりとたたくことができれば、技が決まったことを表す「一本(いっぽん)」を取れます。
![お寺や神社の境内など屋外で開かれる「野試合」(東京の塩船観音寺にて)](images/kendo-04.jpg)
お寺や神社の境内など屋外で開かれる「野試合」(東京の塩船観音寺にて)
相手が打って来る時の隙を狙ったり、相手が打ってきた竹刀を弾き返したり、攻めて相手の構えのバランスを崩したりと、試合展開はくるくる変化します。
剣道の大会は、屋内の試合場で開かれますが、時には、屋外の土の上で「野試合」をすることもあります。神社やお寺の古い建物と木々に囲まれた試合場は、まるで江戸時代にタイムスリップしたみたいです。