草履が作る、元気な体
下駄や草履は、健康にいい履物といわれます。足裏のまん中には「土踏まず」という部分があり、歩いたり走ったり、あるいはジャンプしたりする動作に大事な働きをしますが、ここが発達していないと、疲れやすく、ふんばりがきかずに転びやすくなったり、姿勢が悪くなったりします。運動能力が低い子どもたちの足を調べると、土踏まずがなく平らになっていたり、立った時に足の指が浮く「浮き指」が多いことがわかりました。

「草履を履いてみんなで走り回って遊ぶと、姿勢がよくなり、転ばなくなります」と幼稚園の先生(取材協力=たかはぎ幼稚園)
そこで、足がむれないイグサを使い、足に負担をかけないよう台の厚さやかたさを工夫した草履が考案され、全国各地の保育園、幼稚園で愛用されて年に16万足の売り上げがあるほどの人気になっています。
埼玉県の、とある幼稚園では、18年ほど前から園内の生活や通園にこの草履を取り入れています。外遊びの時、子どもたちは草履をはき、追いかけっこや縄跳びやサッカーをして元気に遊びます。集団で遊ぶと、急に止まったり、方向を変えたりと予期しない動きに対応するため、草履で開放された足指をじゅうぶん使うようになり、筋力が発達し土踏まずが形成されます。また、血液のめぐりがよくなり、体のゆがみが改善されるばかりでなく、足を使うことで脳が刺激され、判断力や集中力、持続力も高まるといった精神面での効果も見られるそうです。


左:じょうずに足指を使って草履を履き、みんなで縄跳びをする
上:子どもたちが履く草履は、子どもの足の発達と健康を研究する兵庫教育大学名誉教授・原田碩三先生によって開発されたものだ
下駄や草履は、昔のものとして忘れ去られているのではなく、クールでファッショナブルな履物として、また足の成長によい影響を与えるすぐれた健康履物として、新しい人気をかくとくしているのです。
(2012年2月更新)