テレビから生まれた日本のヒーロー
昔も今も、子どもたちはテレビで活躍するヒーローが大好きです。日本のテレビのヒーローは、多くが冒険小説やマンガ誌、時代劇の映画などをヒントにして誕生し、1950年代後半から放映が始まったテレビの中で人気を博しました。侍がモデルになったという謎に満ちた正義の味方や、遠く離れた星から地球を救うためにきた宇宙人や、超能力をもつ改造人間など、実にいろいろなタイプのヒーローたちが登場してきました。

仮面ライダー1号。子どもたちの間に変身ブームをおこした
©石森プロ・東映
1971年からテレビ放映された「仮面ライダー」は、そんな人気テレビヒーローの代表格です。悪にとらわれ、超人的な戦闘能力をもつ改造人間とされてしまった主人公は、悪の組織をのがれ、人びとのため独り戦うことになります。悲劇的な運命を背負った人物が好きな日本人には、この物語がとても魅力的にうつったのでしょう。

スーパー戦隊シリーズの初代の秘密戦隊ゴレンジャー。チームで戦う新しいヒーロー像をつくった
©石森プロ・東映
高性能バイクに乗り、空手をはじめさまざまな格闘術を取り入れた技で戦うヒーローに子どもたちはあこがれ、みんな「へんしん!」と叫びながらポーズをとり、格闘ごっこをして遊びました。テレビシリーズ化された「仮面ライダー」は、現在23作目を数えています。
個性豊かな数人の戦士らがチームとなって悪と戦う「スーパー戦隊シリーズ」も、テレビヒーローの代表的スタイルとして、今に受けつがれています。初代の「秘密戦隊ゴレンジャー」(1975年放映)は、5人の戦士が、歌舞伎の「見得」とよばれる決めのポーズを取り入れ、時にはなやかに、時にひょうきんに戦います。チームで戦うヒーローという新しさと、伝統芸能の要素との新旧の組みあわせが新鮮で、またたくまに大人気となりました。

シリーズ第35作目の最新作、海賊戦隊ゴーカイジャー
©2011 石森プロ・テレビ朝日・東映AG・東映
また、仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズは、テレビを飛び出して全国の遊園地などで行われるショーでも見られるようになり、子どもたちが直接ヒーローたちとふれあう機会が増え、人気はさらに盛り上がりました。