地域を元気にするために戦う
そんなヒーローが、最近はさらに身近な存在に変わりつつあります。住民や商店街の人たちが、町の独自のヒーローを作り出すようになったのです。特産品や観光名所を宣伝するなど、地域を元気にするために活躍するヒーローは、2000年頃から全国的に増え始め、その数は今や100を超えています。
ローカルヒーローの先がけは、鹿児島県の離島、日本の宇宙ロケット発射基地のある種子島で誕生した「離島戦隊タネガシマン」だといわれています。中種子町(なかたねちょう)という町の若者たちが中心となり、1996年の夏、地域を盛り上げるために生まれたそうです。以来、タネガシマンは島のためにさまざまなイベントに登場して人気を集めています。
その後、各地でたくさんのヒーローが誕生しました。あるヒーローは地元の豊かな自然とおいしい特産品を宣伝するため、また、あるヒーローは温泉地をさらに盛り上げるためにイベントやショーなどで活躍しています。中には、ローカル局でテレビ番組が作られて注目をあび、映画化までされるなど、各地のヒーローに影響をあたえるような有名なローカルヒーローも出てきました。
左/リアスの戦士イーガー(左側) 上/東日本大震災後も地元のイベントで活躍 Produced by 女川町商工会青年部
©Onagawa Rias Soldier Eager Project
2011年の3月、東北地方をおそった大地震で大きな津波被害を受けた宮城県女川町(おながわちょう)。地元のヒーロー「リアスの戦士 イーガー」も被災し、一時は活動を中止せざるをえませんでした。しかし、ファンが津波で流された武器を見つけてくれ、また、子どもたちから熱い期待を受けたことで、イーガーは震災から1カ月後には復活しました。避難所や仮設住宅などを訪れたり、イベントに参加したりするなどして、被災者を励ましています。
テレビ時代の幕開けとともに登場した日本のヒーローは、時代によって少しずつ変化しながら日本人に親しまれてきました。そして現在、各地域でもローカルヒーローが数多く生み出されています。彼らは、地元を元気にし、人びとに明るさをとどけています。
左: 沖縄県が生んだヒーロー、琉神マブヤー。映画化もされるなど、人気は全国に広がっている
©Mabuyer Project
右: 秋田県の人気ヒーロー、超神ネイガー。地元の特産品をイメージした武器で戦う
©F2-ZONE
(2012年1月更新)