子どもたちの成長を願って
5月5日は「子どもの日」。子どもたちのすこやかな成長を祈る国民の祝日です。小さな男の子のいる家庭では、その願いを込め、コイをかたどった色あざやかな旗「こいのぼり」を風に泳がせます。
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民家の庭に上げられたこいのぼり。五色の「ふきながし」に続いてお父さん、お母さん、子どもたちと家族をあらわすコイがならぶ(©AFLO)
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19世紀半ばの版画(うきよえ)に描かれた、こいのぼり (©AFLO)
中世の武士の家では、この日に先祖から伝わる兜(かぶと)や鎧(よろい)といった武具を飾り、戦場で使う「のぼり旗」を庭に立て、わが家の武勇を語って子どもたちがたくましく育つことを願いました。18世紀頃には、裕福な町人たちが武家の風習をまねるようになり、滝をのぼったコイが龍になるという中国の昔話にちなみ、のぼり旗のかわりにコイを上げるようになりました。これが、こいのぼりの始まりです。当時のこいのぼりは、絵の具で和紙に描いたものでした。雨が降ると色が落ちるので、天気を見ながら空に泳がせたといいます。
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こいのぼりの置き物 (©AFLO)
やがてこいのぼりは布染めでつくられるようになり、厄よけの意味をもつ5色のテープのような「ふきながし」、黒いコイ、赤いコイをセットにするのが習わしになりました。いまのように青や緑、オレンジなど色とりどりのこいのぼりが登場するようになったのは、東京オリンピックが開催された1964年以降です。五輪のマークが色のヒントになったといわれています。