交通事故を減らす日本の新しい方法
人や物を速く運んでくれる自動車の登場によって私たちの生活は大変便利になりました。しかし、自動車の事故によって大切な命が失われてきました。日本も例外ではありません。1970年には年間の交通事故死亡者数が1万5千人を越(こ)えていました。交通事故を減らし、世界一安全な道路交通を実現するという目標にむけて、日本は交通事故を減らす活動を強化しました。以来、交通事故は減り続け、2009年の交通事故死亡者数はついに5000人を下回りました。1970年に比べ、自動車の数は5倍近くも増えているのに、交通事故による死亡者数は3分の1以下に減少しました。
では、具体的にはどのような背景があったのでしょうか。理由の一つとして日本では、子どもたちが楽しみながら交通規則を学べる機会が充実(じゅうじつ)していて、小さいころから交通安全を守ることの大切さを知っていることがあります。
子ども専用の日本の自動車教習所
日本で最近注目されているのが子ども専用の自動車教習所です。交通安全の規則を学べ、受講後に特別な免許証(めんきょしょう)がもらえます。千葉県にある「キッズ・ドライビング・パーク」では、免許証用の写真撮影(しゃしんさつえい)から始まり、次に学科講習があります。「青信号の意味は」と聞かれた子どもが「進め」と答えると、先生は「正解は安全を確認してから『進んでもよろしい』です」と教えてくれます。他にも「一方通行」「進入禁止」といった標識の意味をわかりやすく説明してくれます。
![キッズ・ドライビング・パーク](images/001.jpg)
(C)キッズ・ドライビング・パーク
学科が終わるといよいよ教習用の道路コースに出ます。中学生や高校生が使うのはエンジンで動くカートで、3才から小学生までは電動カートに乗り込(こ)みます。どちらもシートベルトを着用しないと動きません。光が点滅(てんめつ)する方向指示器や子どもの目線に合わせたサイドミラーもついています。道路コースには実際の道路と同じように標識があり、子どもたちは標識を見ながら運転していきます。「次の交差点で右に曲がってください」と先生が指示を出します。まず方向指示器で右に曲がるという合図を出し、標識が青であることを確認します。日本の道路は左側通行ですから、交差点でいったん停止します。そして、対向車線に他の自動車が来ていないことを確認してから右に曲がります。実技が終わったら、合格者が発表され、合格した子どもたちはみんな誇らしげに本物そっくりの運転免許証を受け取ります。
![キッズ・ドライビング・パーク](images/002.jpg)
(C)キッズ・ドライビング・パーク
![Newプッチタウン](images/003.jpg)
また、F1グランプリの開催(かいさい)で知られる鈴鹿(すずか)サーキットでは、10年前から、楽しく交通規則を学べる施設(しせつ)がありますが、今年の春に「Newプッチタウン」と新しくなりました。子ども用の運転免許はもちろん、お父さんやお母さんも車に乗って、運転教習所の先生のように教えることができ、交通安全を家族全員で一緒(いっしょ)に楽しみながら学べます。