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ハイテクジャパン

目の前に広がるパノラマ 曲線で動くエスカレーター


パート2

工芸品の細工のように

ステップを支えている骨組みのイメージ図。半円を描いて動かせるよう、チェーンの内側と外側は違う長さ

ステップを支えている骨組みのイメージ図。半円を描いて動かせるよう、チェーンの内側と外側は違う長さ

 スパイラルエスカレーターのすごいところは、設計図だけではありません。ステップの形や、ステップを裏側で支えて動かしている骨組みなどに、実際に動かすための工夫がたくさん盛り込まれています。


 例えば、ステップを見てみましょう。普通のエスカレーターのステップは長方形をしていますが、曲線のエスカレーターのステップは、カーブの内側の方がちょっと短く、扇のかたちのようです。よく見ると、ステップを乗せる部分に彫られた細い溝もまっすぐではなく、カーブの外側がちょっと膨らんでいるのに気づくはずです。ステップ同士がきれいにカーブして動くための工夫の一つです。


ステップを動かすためのレールを検査する技術者たち

ステップを動かすためのレールを検査する技術者たち

 また、車の車輪のようにステップの両脇で動きを支えるローラーも、ボールのようなかたちにしました。球形のローラーはボールペンの先のように動いて、立体的で複雑な動きを滑(なめ)らかにしてくれます。


 ローラーが動くレールも、手作業で曲げられます。スパイラルエスカレーターは、ベテランの技術者たちの手によって、工芸品に細工をするように丁寧(ていねい)に組み立てられているからこそ、安全で快適に動くのです。



空間を飾るモニュメント

横浜ランドマークプラザに左右対称で設置された2台のスパイラルエスカレーター

横浜ランドマークプラザに左右対称で設置された2台のスパイラルエスカレーター

 スパイラルエスカレーターは、開発着手から5年後に、日本のつくば市で開かれた国際科学博覧会でデビューを果たしました。以来、日本国内では36台が設置され、海外に向けては、米国やカナダ、シンガポール、中国、タイ、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦など14カ国に55台が輸出されました。


 この不思議なエスカレーターは、単に昇り降りするための機械としてだけではなく、個性的なモニュメントとして、広場やビルの空間を彩っています。


(2013年8月更新)