マニアの期待を決して裏切らない

 古くからの電気店の連合体、秋葉原電気街振興会では、「ヨドバシカメラがある駅の東側は家族連れやカップル、西側は外国人観光客や若い人という、お客さんの棲み分けができつつある」と分析する。若い人とは、パソコンやゲームなどが趣味のマニアを指す。彼らは、パソコンを自作したり、機能をアップグレードしたりするため、中央通り西側の裏にある、パソコン部品や中古パソコンを扱う店に通う。そのうちのひとつ、「アキバ・パレットタウン」の店長は語る。

「新品パソコンの市場は成熟してしまったので収縮に向かっていますが、半面、パソコン部品や中古パソコンの需要が大きくなっているんです。ヨーロッパやアラブからのお客さんも増えてますしね。おかげさまでこの数年、売り上げは伸びています」

 第2次世界大戦後から、秋葉原とともに発展してきたJR総武線高架下の「ラジオセンター」も健在だ。小さな店が狭い通路にひしめき、細かい電気部品やケーブルなどがわずかの隙間もなく並ぶ様を、初めて見る人は少なからず衝撃を受けるにちがいない。ちょっとした装置なら自作してしまう電気マニアやプロの試作者たちが、部品や道具を求めここにやって来る。残念ながら最近は客が少なくなり、経営者の高齢化で存続が危ぶまれているという声も聞かれたが、映画『ブレードランナー』に啓示を与えたといわれる、混沌とした雰囲気よ永遠なれ、と願わずにはいられない。

 マニアをして「探せば、欲しいものは必ず見つかる」と言わしめる秋葉原。時代や人の嗜好がどんなに移ろうとも、電気街・秋葉原は変幻自在に生きのびていく。

close