電気の迷宮に出現した巨大ビル
秋葉原で「電気街」とされる地域は、意外に狭い。規模も商品内容もさまざまな電気店は、JR秋葉原駅の西側を中心にした東西400m、南北600mの枠内にほぼ集中している。真ん中を南北に走る大通り「中央通り」を歩けば、わずか10分ほどで通り抜けてしまう。しかし甘く見てはいけない。電気製品やパソコン、ゲーム好きな人間が行くと、そこは、掘り出し物で溢れ、1日や2日ではとうてい見て回れないほどの迷宮となるのだ。
2005年9月、その迷宮がさらに拡大した。駅東口の目の前に、巨大家電量販店の「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」が登場したのだ。巨大な宇宙空母を思わせるような8階建てビルの1階から6階までに、あらゆる家電製品、パソコン、携帯電話などの情報機器、ゲーム機やソフト、玩具などが、ぎっしりと並ぶ。
「商品を全部展示して見せるというのがコンセプト。周辺機器やアクセサリの類も細かく品揃えしています」
お店の人が言うように、展示商品を隅々までていねいに見て回ると、一つの階だけで1時間以上はかかりそうだ。8階は食堂街で、来店客は、一日中でも店内で過ごせるようになっている。