このように秋葉原は、常に変化を続けてきました。しかし、この街を貫く変わらないいくつかの特徴があります。それがこの街独特の面白さをつくっているのです。
その第一は「積層性」です。この街には、いまだにラジオやオーディオに使う真空管も売られているし、電化製品の量販店もあるし、パソコン専門店も数知れないくらいにあります。時代によって街の主力は変わっても、それぞれがずっと生きているのです。
二つ目は「新旧融合」です。秋葉原を歩いていると突然、19世紀から続く老舗の海苔屋があったり、宮内庁御用達の箸の専門店があったりします。江戸の守り神「神田明神」の祭りでは、秋葉原の一帯を多くの神輿が練り歩くのです。
こうした江戸情緒溢れる古いものが、最先端のITの街に溶け込んでいる。これも秋葉原の面白い側面です。
さらになによりも秋葉原を特徴づけているのが「徹底集積」です。とにかく徹底的にモノを集めている。一般の家電製品から小さな電子部品まで、さまざまなモノに溢れています。
いわば、街全体が大きな百貨店といってもいいかもしれません。電気製品や部品に限らず、鉄道模型や天体望遠鏡、フィギュア、ミニカーなど、あらゆるものが売られています。しかもこの街には、量販店もあればプロ向けの専門店、中古屋、さらには部品のみを扱う店までが軒を並べているのです。こまめに探せば欲しいものが必ず見つかる。
その意味で、秋葉原は「ここにないものはない」と言える街なのです。