金箔に旅の思い出を写す
金銀箔工芸さくだ(石川県)
金沢は、16世紀末から約300年の間、全国最大の大名を主とする加賀藩の城下町として栄えた。藩の奨励で花開いた工芸文化の伝統が、現代にまで受け継がれている。
仏像や工芸品づくりに欠かせない、金箔工芸もそのひとつだ。料亭などの格子窓が連なる、ひがし茶屋街のほど近く。金銀箔工芸さくだでは、金の魅力が存分に楽しめる。店内には金箔を貼った工芸品や屏風が並び、まさに金一色。職人が1万分の1oの薄さにまでのばすという、金箔づくりの工程も見学できる。
圧倒的な技術を見た後は、金箔貼りに挑戦だ。まず、漆の箸や小物入れなどに半透明の紙テープを貼る。テープの上に好きな絵柄を描き、カッターで切る。切った部分に接着剤を塗り、金箔をのせる。息を呑む緊張の一瞬だ。
上から刷毛で押さえ、最後に、テープをそっとはがすと、金色の桜の花びらが浮かび上がる。あっという間の1時間。旅の思い出のできあがりだ。