地方の小さな蔵元を再生させる
ジャパン・フード&リカー・アライアンス
小林武司さん
50年前、日本の酒蔵は4000軒ほどあったといわれている。それが今では半分の約1900軒に減った。日本酒の消費量が減ったのが最大の原因である。地方の小規模な酒蔵は、どこも経営が難しくなってきているのだ。
「地方の小さな蔵が生き残っていくためには、互いに手をつないでやっていくしかないんじゃないかと、仲間を集めてつくったのが私たちの会社です」
そう話すのはジャパン・フード&リカー・アライアンスの社長、小林武司さん。同社は2006年、香川県の醤油蔵と愛知県の酒蔵が、共同で発足させた持ち株会社だ。以来、数々の醤油蔵や酒蔵の経営を立て直し、現在の仲間は20社に増えた。うち5社が、酒蔵である。
「日本酒は、土地の食文化に鍛えられて味の個性を磨いてきた酒なんです」
地方の酒蔵を守ることは地方の文化を残すこと、が小林さんの持論だ。同社で立て直しを引き受ける基準は、その地方に根づいて丁寧な酒造りをしてきたかどうか、ということだ。
傘下の酒蔵は、酒米を共同で買ったり、瓶やラベルを一括で発注したりする。繁忙期がずれるグループ内の醤油蔵から、手を借りることもある。こうして合理化を進め、蔵で造る酒の銘柄を半分ほどに絞る。
「経営は任せてもらい、蔵元にはいい酒を造ることに専念してもらいます」
今も10を超える蔵元が、立て直し依頼の名乗りをあげている。