アイデア商品で燗酒を手軽に

サンシン
山崎 浩さん

 今、日本酒愛好家の間で話題の道具がある。家庭用の燗づけ器「ミニかんすけ」だ。燗とは、湯煎などで日本酒を温めることをいう。日本酒は冷やしても、常温で飲んでもおいしい。だが、温めればもっと味わいが増すのだ。

「日本酒は面白くて、お燗の温度によって味が微妙に変わるんです」

 と、この道具を開発した(株)サンシンの山崎浩さんは話す。

 その証拠に、燗酒には温度の違いによってさまざまな呼び名がある。「日なた燗」(約30℃)、「人肌」(約35℃)、「ぬる燗」(約40℃)、「良燗」(約45℃)、「熱燗」(約50℃)……。

 好みの燗酒を楽しむには、温度管理が難しい。かつて料亭などでは「燗番」という燗の係を置いていた。サンシンは、「燗番」に代わる業務用の自動燗酒機を製造販売してきたが、家庭でも手軽に燗酒を楽しんでもらいたいと、「ミニかんすけ」の開発に着手した。

 しかし、業務用機械の技術を家庭向けの道具にそのまま使うことはできない。一から試行錯誤を繰り返し、熱湯を注ぐだけで好みの温度の燗ができる「ミニかんすけ」を完成させた。燗酒の容器には、熱伝導と保温に優れ、酒の味をまろやかにするスズを使った。

「お燗という日本酒独特の楽しみ方が、もっと広がるといいですね」

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