靴を脱いで畳に上がり、大きなテーブルを囲んでくつろぐ人びと。一見すると、ここは日本家屋の中? いや、鉄道の車内なのである。
それにしても、こんな車両は日本でもめったにお目にかかれない。「お座敷」とは日本家屋の畳を敷きつめた部屋で、主に客間のことをいう。
この列車を走らせているのが、東北地方の福島県を走る会津鉄道だ。列車は先頭から、景色が満喫できる「展望車両」、貨車に座席を付けた「トロッコ車両」、それに「お座敷車両」の3両で編成され、「お座トロ展望列車」と呼ばれている。
会津若松駅から会津田島駅までのおよそ45q、「お座トロ展望列車」は秋の行楽シーズンや休日を中心に運行されている。窓の外を流れるのどかな山村や渓谷の風景と、自宅にいるような雰囲気での食事やおしゃべりを楽しみながら、1時間半ほどの旅を楽しもう。