歯車を使って急坂を登る アプト式鉄道

スイッチバックと同様、急勾配を登る登山鉄道で利用される推進方式が、ラックレール方式だ。これは車両側に歯車を設け、その歯車が噛み合う刻みを入れた線路(ラックレール)を敷設し、歯車を回転させて前に進む仕組み。ラックレールの形や枚数によって、いくつかの方式に分かれる。スイス人のアプトが発明した「アプト式」は、2〜3枚のラックレールをずらして並べたもの。日本では現在、静岡県中央部の南アルプスを走る大井川鐵道井川線の一部区間でのみ、このアプト式が用いられている。敷設されたのは比較的最近の1990年のことで、最大斜度90パーミルを登る「日本で唯一のアプト式鉄道」として名高い。

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