鉄道は普通、線路と車輪の間の摩擦力を利用して走るが、線路の勾配が急になってある限度を超えると、滑って走ることも停まることもできなくなる。そこで開発されたのがスイッチバック方式である。この方式は急傾斜地をまっすぐ登らずにジグザグに登る。列車はひとつのジグザグの終端に達すると次は逆向きに走行して、少しずつ高度を上げていくのだ。山岳路線が多い日本の鉄道では、かつて多くのスイッチバック地点があったが、車両のパワーアップやトンネル掘削などの建設技術の進歩により、近年その数は減少している。写真の箱根登山鉄道は全長15qの区間で550mの高低差があり、鉄道の限界ともいわれる80パーミル(1q進む間に80mの高低差)の勾配もある。