チームが一つになって海の上を疾走する
宝ハーリークラブ「ピンクパンダ」
10人で漕ぐ、手漕ぎのボートレース「ハーリー」。かつては航海の安全や豊漁を願って行われる、沖縄の漁師たちの伝統行事だった。しかし近年はスポーツとしての色彩が強くなり、10年ほど前からは女性たちによる「マドンナレース」も、沖縄の各地で盛んに行われるようになった。
本島南部の豊見城市与根漁港に本拠を置く、宝ハーリークラブの「ピンクパンダ」は、各地のマドンナレースで優勝を飾ってきた強豪チームである。週に3日、仕事が終わってから練習を積んでいる。びっしり2時間、港から何度も何度も沖に漕ぎ出すのだ。みんなの息が合ったとき、舟は信じられないほどのスピードが出るという。
「一瞬、舟が空中に持ち上がるんです。海の上を飛ぶような疾走感と一体感がハーリーの魅力ですね」と、主将の嶺井亜希子さんは話す。
楽しさも悔しさも、全員で共有できる——ハーリーを始めてから、チームのみんなも、これまで以上に海が好きになったと語るのだ。