現代に蘇る紋切り遊び


正方形の紙を折り、型紙をあてて切り抜く。開いてみるとあら不思議、思いもよらぬ美しい形が現れる。これは江戸時代(17〜19世紀)の庶民が考案した「紋切り遊び」という切紙細工だ。紋切りは、さまざまな紋章を切り出すのだが、とくに家ごとのシンボルである家紋が多く用いられた。造形作家の下中菜穂さんは、この紋切り遊びを現代に蘇らせようと、手軽に楽しめるキットを販売したり、国内外でワークショップを開いたりしている。

「紋は、花や草木、動物や鳥、生活道具や“こんなものまで?”と思う意外なものまで、さまざまなものをかたどっています。日々の暮らしを楽しんでいた昔の日本人の豊かな心と遊びの精神を、現代にも取り戻したいんです」

紋切りはできあがった紋を吊るしたり、障子に並べて貼ったり、インテリアに生かせるのも楽しい。

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