和紙と折り畳む文化

日本では、特に楮や雁皮など木の繊維を、薄く丈夫に漉く製紙法が発達しました。住まいに襖や屏風が取り入れられるようになると、紙にいっそう丈夫さが求められるようになり、繊維を幾重にも重ねて漉く技法が工夫されるようになりました。障子、提灯、さらには行灯などが、12世紀末から江戸時代(17世紀頃)までの長い時代を経て、普及するようになると、薄く光を通し、何度折っても破れない紙、つまり折紙に適した和紙が生まれたのです。

また四季がはっきりと移り変わる日本では、季節ごとの農事や祭りなど、節目が格別に大切にされ、折り目正しさを美徳とする文化を育ててきました。神様に捧げるお供え物の下に紙を敷いたり、包んだりする様式は古代からあるものと考えられていますが、その後、室町時代(14〜16世紀)に武家社会の礼法のひとつとして、贈り物を美しく包む、折形(「おりかた」。「おりがた」ともいう)と呼ばれる文化が生まれました。折紙のルーツです。

室町時代以来、幕府の礼法指南役を務めてきた伊勢家の当主、伊勢貞丈が書いた「包結記」(1764年)によって、折形が一般的に知られるようになりました。また、僧侶の魯縞庵によって書かれた「千羽鶴折形」(1797年)の中では、49種類もの連鶴が紹介されています。江戸時代の後半には、折形から発展した折紙遊びも、広く庶民に伝わっていたと考えられています。

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