なりきる楽しさが醍醐味
1990年代半ばから、コミックマーケット(通称コミケ)と呼ばれる同人誌の見本市に、アニメやゲームなどの登場人物の衣装で仮装(コスチュームプレイ・通称コスプレ)する若者らが大挙して押し寄せ、一大祭典を繰り広げるようになった。
コミケは、毎週、全国各地で開催されているが、それだけでなく、普段でもコスプレした人を見ることができる街がある。それが東京・秋葉原だ。日曜日の歩行者天国では、コスプレ女性が満面の笑みを浮かべてポーズを決め、素人写真家が列をなしての路上撮影会が始まる。中には歌手志望者も多く、歌や踊りを披露する姿も見られる。
コスプレ歴7年の柚ノ瀬そらさんも、その魅力に引き込まれた一人。彼女はコスプレの魅力を「なりきる楽しさ」だと語る。衣装を購入したり、自分で作ったりして仮装すれば、好きなキャラクターの気持ちに近づける。彼女にとって、大好きな作品の世界に浸るのはとても楽しいことなのだ。
「コスプレはある意味、『キモかわ』(気持ち悪いけどかわいい)なんですよね。肌の露出が大胆だったり、デザインが奇抜だったりする衣装でも、好きなキャラクターになりきれると思えば、かわいく見えてくるんです」と笑う。
そんな柚ノ瀬さんが、目下かわいいと感じている対象は、ディズニーのキャラクター「リロ&スティッチ」。「顔が面白くて表情が豊かだし、やんちゃなところも好き」だという。
彼女は普段、秋葉原のコスプレ飲食店『小悪魔の宴 Little BSD』でウエイトレスを務めながら、『ゆめはなび』という2人組で歌手活動も行っている。情熱家の彼女は、「キモかわ」な生活をとことん楽しんでいる。